いわゆるニューワールドと呼ばれるワインのうち、ここ数十年で著しく発展を遂げているのがニュージーランドのワインだ。生産量こそ世界の約1%とごく少量だが、輸出額ベースでは世界第6位。国際的なワイン品評会で多くの賞を受賞し、ジャーナリストやワイン評論家から、フランスに匹敵するクオリティだと評価されていることからも、プレミアムなワインの産地として世界的に認知されていることが見てとれる。海外から移住しやすい環境が整っているため、日本からも十数人の醸造家が海をわたってかの地でワインづくりに挑戦し、すでに成功を収めているのは、ワイン愛好家ならすでにご存じであろう。
またニュージーランドは南北に長い島国であり、南半球に位置しているため、南が冷涼な気候で北が温暖。冷涼な南島では、ニュージーランドワインを世に知らしめたソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールが主に栽培されているが、暖かい北島のホークス・ベイでは上質なカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといったボルドー品種やシャルドネの栽培が盛んだ。
と、ここまでがニュージーランドワインの概況だが、今回ご紹介する「シャトー・ワイマラマ」は、日本人実業家の佐藤茂がオーナー。北島のホークス・ベイで、わずか4.5ヘクタールの小さな畑ながら丁寧な手作業でブドウを栽培し、ボルドー品種のワイン「Minagiwa」や「Emigao」が国内外のコンペで非常に高く評価されてきた注目のワイナリーである。
「確かに『ワイマラマ』のカベルネ・ソーヴィニヨンは素晴らしく非の打ちどころがないワイン。でも今回、シラーの『Kiraraka』を飲んでその優美なスタイルに衝撃を隠せませんでした」と語るのは「WAKANUI GRILL DINING BAR TOKYO」(東京・芝公園)のソムリエである熊谷優希。気候変動の影響もあってか、温暖なホークス・ベイでも仏ローヌ地方産シラーを思わせるエレガントでスパイシーなシラーに仕上がっているのだそうだ。
「黒胡椒やナツメグなどのスパイス、ほのかに動物的なニュアンスを感じさせるデリケートな味わいで、同じ南半球であってもオーストラリア産のシラーズとは一線を画しています。この一本に出会ったことで、ニュージーランドのシラーにもっと注目していきたくなりました」
スパイシーな味わいのワインで炭火焼きされたビーフやラムがよりおいしく感じられることだろう。食欲の秋の到来だ。
シャトー・ワイマラマ キララカ 2014
容量|750ml
品種|シラー100%
度数|12.8%
価格|18700円(参考小売価格)
問い合わせ|ワイマラマジャパン 03-6447-2356
今宵の一杯はここで
WAKANUI GRILL DINING BAR TOKYO
ニュージーランド産ビーフとラムの美味に目覚めるニュージーランド産食肉の輸入販売を手がけるアンズコフーズが母体となり、ニュージーランド産のビーフ、仔羊肉、ワインの日本における認知度を高めることを目的として2011年にオープンしたレストラン。東京タワーを間近に望む好ロケーションのダイニングで、ドライエイジングされた牛肉やラムの炭火焼を楽しむことができる。ここでラムのおいしさに目覚めたという人も多い。
WAKANUIグリル ダイニング バー 東京
住所|東京都港区芝公園3-4-30 32芝公園ビル 10F
予約・問い合わせ|03-5401-5677
営業時間|11:30~14:30(LO13:30)、土~15:00(LO14:00)・17:30~22:00(LO21:00)休/日