バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、12月2日の終値で6050を記録したS&P500が、2025年の年末には現状を10%上回る6666に達すると予想している。BofAは、低金利や労働市場の生産性向上といったマクロ経済要因に加えて、ドナルド・トランプ次期大統領の下での法人税率の引き下げなどの企業環境の改善が、市場の追い風になると述べている。
「ここ2年の市場に関して言うと、平均的な株が指数全体よりも安値で取引されてきた」と、サビタ・スブラマニアン率いるアナリストは指摘し、ここ数年の株価の上昇が、少数のハイテク大手銘柄にほぼ独占されてきたと主張した。
ドイツ銀行は、S&P500の2025年末の目標値をウォール街で最も高い7000に設定しており、約16%の上昇を見込んでいる。ビンキー・チャダが率いるアナリストは、ハイテク大手以外の設備投資の増額や米国以外の国の経済回復、さらにはM&A(合併・買収)活動の増加がさらなる株価の上昇を支えると予測している。
ゴールドマン・サックスは、顧客向けメモでS&P500が来年末までに、現状を9%上回る6500に達すると予測した。この予測は「米国経済の継続的な拡大」に基づくもので、S&P500の構成銘柄の1株当たり利益が11%増加するとの見通しを根拠としている。さらに、特筆すべきは、デビッド・コスティン率いるアナリストが、マグニフィセント・セブン(M7)と総称されるエヌビディアやアップルを含む7大企業の株価パフォーマンスが、「2017年以来で最も控えめになる」と予測している点で、このグループが市場を凌駕し続けるトレンドに反転が見られる可能性が示唆されている。
トランプ新政権のリスク
ゴールドマンの競合であるモルガン・スタンレーも同様に、S&P500の1年後の目標値を6500に設定しているが、1株当たりの利益成長率をゴールドマンよりも高い13%と予測している。しかし、マイケル・ウィルソン率いるアナリストは、トランプの新政権がもたらす不確実性を、「通常以上に大きなリスク」に挙げてており、強気シナリオでS&P500が現状を約26%上回る7400に達する可能性があるとする一方で、弱気シナリオでは、4600にまで下落して約28%の下落となる可能性を指摘した。さらに、独立系調査会社のヤルデニ・リサーチは、S&P500が2025年末に7000に到達すると予測し、19%の上昇を示唆している。「トランプ2.0は、経済と株式の強気相場をもたらす体制の変化を意味する」と、同社を率いるエド・ヤルデニは先週、指摘した。
S&P500の近年の上昇を牽引しているのは、アマゾンやメタ、エヌビディア、テスラなどのハイテク大手の株で、これらの銘柄はすべて2022年末から150%以上の上昇を記録している。
一方、株式市場がしばしば予想外の動きをすることを考えれば、ウォール街で最も信頼される大手の予測であっても、正しいとは限らない。昨年11月に、ゴールドマンとモルガン・スタンレーは2024年末のS&P500を、それぞれ4700と4500と予測していたが、この予測はいずれも直近の指数を25%以上も下回っている。
(forbes.com 原文)