そもそも、クリエイティブ産業の価値を測る最初の取り組みを行ったのは、1997年イギリスの文化・メディア・スポーツ省が出版した『クリエイティブ産業 – マッピング文書1998』。広告、建築、芸術品および骨董品市場、工芸品、デザイン、デザイナーファッション、映画、インタラクティブレジャーソフトウェア、音楽、舞台芸術、出版、ソフトウェア、テレビとラジオという13の分野をクリエイティブ産業として定義した。
一部で「クリエイティブは、体系的な分析などが可能な生物科学や工学などの分野からも生まれる」という反論も生み出しながらも、あえて社会的・文化的領域に限定し、その分野の経済的な推進力を図ろうという調査で、2001年の追加調査では、実際にこれらのクリエイティブ産業が多くの雇用を生み出しているとして注目を集めた。
それに弾みをつけたのが、2004年、ブラジル・サンパウロで行われたUNCTAD国連貿易開発会議。「発展途上国の国家努力を支援し、ダイナミックな活動への参加を増やし、そこから恩恵を受けるセクターの創造性を育成、保護、促進することを国際社会に要請する」と宣言し、世界に知られることになった。
2018年にはインドネシア・バリ島で世界クリエイティブ経済会議(World Conference on Creative Economy、WCCE)がスタート。その後も2年に一度開催され、第4回の会議が今年10月、ウズベキスタンの首都タシケントで行われた。
未来志向の遺跡保全として
ウズベキスタンは1991年に旧ソ連から独立したまだ若い国だが、昔からシルクロードの交易地として栄え、「青の都」サマルカンドなどの世界遺産で知られる。首都タシケントは約240万人が暮らす中央アジア最大の都市でもある。シルクロードと聞くと砂漠のイメージがあるが、タシケントはソ連邦時代の名残か、広々とした近代的な街並みに、緑が多いのが印象的だった。出生率が高いウズベキスタンは、35歳以下が60%を占め、2023年の実質GDP成長率は6%と急成長を遂げている。もともと織物産業、伝統的な工芸品で有名だが、さらなるクリエイティブ産業の成長に向けて国をあげて力を入れており、2022年のクリエイティブ産業関連の輸出額は9億3600万ドルにのぼる。近年は歴史的な建造物を生かし、アーティストの発信源にするというプロジェクトに向けて動いている。