アップルのホリデーCMは、抽象的な内容で予測不能なものも多いが、今年は聴覚障害という深いテーマに触れ、それに対応する同社のイノベーションを描いている。この動画で唯一見られる製品の露出は、一部の国で臨床レベルの補聴器としても認定されたAirPods Pro2だ。
筆者もこのイヤホンの「聴力検査」機能を試してみたが、5分間の検査で、自分の聴力の状態を評価できることを実感した。また、音楽を聴く際にも、空間オーディオへの対応や片方を耳から外すと一時停止、アクティブノイズキャンセリングといったすばらしい機能がある。
しかし、このCMでは、娘のギターの演奏を十分に聞き取れない聴覚障害を持つ父親が、イヤホンを装着することで初めてそのサウンドをしっかりと聴けるようになるシーンが描かれている。
アップルによると、聴覚障害を持つ人々は、聴力検査を受けて補聴器を装着するまでに平均10年待つと言われており、何百万人もの人々が自分が聴覚障害を持っていることを知らず、必要な支援を受けていないという。しかし、同社のAirPods Pro 2を使えば、臨床レベルという補聴器機能を自宅で利用できる。
このCMは非常に感動的で、涙を誘う作品だ。それだけでなく、映画制作の暗黙のルールを破りながらもすばらしい作品に仕上げている。映像の世界には「観客を泣かせたいなら、画面上の人物が泣いてはいけない」というルールがあるが、このCMは、そのルールを破りつつ、人々を感動させる内容になっている。
(forbes.com 原文)