世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、今年の中国人旅行者の海外旅行支出は前年比42%増の1兆8000億人民元(約37兆4000億円)に達する見通しで、パンデミック前の2019年の1兆7000億人民元(約35兆2500億円)を超えると予測されている。スンは、世界第2位の経済大国である中国における旅行需要の回復は、コロナ禍のロックダウンを経験した若い中国人の消費習慣の変化が後押ししていると説明した。
航空券やホテル予約の需要増加はTrip.comの業績を押し上げ、同社の9月までの四半期の純利益は、前年同期比約50%増の68億元(約1410億円)に達し、売上高も16%増の159億元(約3290億円)を記録した。
スンは、2025年の見通しについて、長距離旅行への関心が高まっていることを理由に楽観的な見方を示している。中国人は、オーストラリアや南アフリカなどの遠い旅行先に加えて、日本やシンガポール、タイなどの人気の観光地への旅行意欲を高めているという。また、国内でもこれまであまり知られていない場所を探索する人々が増えていると彼女は述べた。
今年10月、Trip.comの堅調な収益成長は同社の株価を史上最高値に押し上げた。香港証券取引所に上場する同社の株価は、年初から約80%上昇し、時価総額は410億ドル(約6兆1400億円)に拡大した。
モーニングスターのアナリストであるカイ・ワンは、2025年以降におけるTrip.comの収益成長が株価のさらなる上昇を正当化すると述べた。また、旅行業界は米中の貿易戦争の影響を直接受けにくい業種の1つだと付け加えた。
スンは、顧客を引き付けるための新たなアイデアを持っており、設立25周年を迎えたTrip.comは、音楽コンサートなどのイベント関連商品の追加などを計画している。彼女は、オーストラリア、日本、シンガポールを回ったテイラー・スウィフトの『Eras Tour』が観光客を各国に引き寄せたことを例に挙げた。
「私たちは常に革新を続けていきます。顧客が必要とする商品がある限り、それを提供するのです」とスンは語った。
(forbes.com 原文)