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東京駅や大阪駅をはじめ、各都市で駅周辺の再開発が進み、人の流れが郊外から駅前へ。
今後、クルマ離れが加速する可能性も。(Photo by Toshinori baba / Wikimedia Commons)

東京駅や大阪駅をはじめ、各都市で駅周辺の再開発が進み、人の流れが郊外から駅前へ。
今後、クルマ離れが加速する可能性も。(Photo by Toshinori baba / Wikimedia Commons)
「87.9%」

地方における乗用車世帯保有率は、87.9%に達する。クルマはまさに生活の足だ。
しかし、高齢化と駅前再開発により、脱クルマ社会が進みつつあると筆者は説く

 
私は仕事の関係で全国津々浦々に出張しており、年間120泊はしている。それも大都市以外のところが多い。

地方を回っていると、ある変化を感じる。それは、幹線道路沿いから駅前へと人の流れが移りつつあることだ。そして、これからさらに加速するに違いない。この流れは都市部から始まっているけれども、JRの努力と高齢化の影響がダブルで効いているようだ。
 
東京駅の周辺もずいぶんと様変わりしたが、札幌や名古屋、梅田、博多駅なども駅前の開発が進み、ススキノや栄、ミナミ、天神が少しずつ押されている。地方で圧勝していたイオンモールも、じつはこの5年間少しずつ業績が悪化している。ボリュームゾーン不況(最も購買層の多い価格帯の商品が売れなくなる現象)もあるが、人の流れのシフトも確実に関係していると思う。
 
地方はクルマ社会で、自動車がないと生活できない。だが高齢化の影響により、運転するのが億劫、もしくは運転できない人が増えている。実際に地方に住んでいる高齢者の不安は、クルマを運転できなくなったときにどのように生活をしたらよいのか、というところにある。
 
その結果、まずは地方の中核都市を中心に、少しずつ駅前へ人の移動が起きている。都市部を中心に出店したヨドバシカメラやビックカメラが好調で、地方中心に出店してきたヤマダ電機がリストラをしているのも、そうした背景がある。

それに対して、イオンもきっちりと対策を立ててきている。旭川駅にイオンモールを併設したり、岡山駅のすぐそばにイオンモールを建設したりしている。

生き残る都市のカギを握る公共交通

大分駅前も再開発されてずいぶんときれいになった。富山市は免許証の返上でライトレール(路面電車)のフリーパスをシニア層に与えたりしている。「コンパクトシティ化」を進めるためには、公共交通の再活用が重要で、それにはJRや路面電車の役割が大きくなる。シニア層だけでなく、若者層もクルマに乗らなくなっているので、駅前の再開発というのは大きな流れになる。
 
今後、駅前を中心に街が再開発され、郊外は森に戻っていくのではなかろうか。すでにその流れは進んでいる。JR北海道を除くJR各社がイオンの客を少しずつ奪って、“駅前”がリアルな消費の主役になっていくだろう。
 
高齢化と若者の脱クルマ社会へのシフトが、脱モータリゼーションの流れをつくり、それが街づくりや人の移動と関連しているようだ。それは当たり前の話で、モータリゼーションの進展で街が変化したことと、逆のことが起きているわけだ。だが、これは意外な盲点ではないか。
 
その結果、「クルマに乗らなくても移動できる都市が生き残る」と私は想定している。地下鉄だけでなく、無用の長物だと言われた市電やバスが重要な生活の足になっていく。東京や名古屋、大阪、福岡はJRだけでなく地下鉄網が発達しており、クルマなしで生きていける。広島や岡山、富山なども路面電車があって大丈夫。クルマがなければ暮らせないところが、少しずつ衰退していく。

しかし、あまりにもクルマ社会に慣れすぎていて、脱モータリゼーションの流れを見極めていない、もしくは理解できていない都市が多そうだ。

駅前シフトを進める会社は「買い」
 
裏を返せば、超高齢化社会が進んだ都市ほど、クルマ社会を前提にしたコミュニティの在りかたが成り立たなくなっているために、割と真剣に脱モータリゼーションに力を入れている。具体的に、“移動店舗”のような形の八百屋が出てきている。都市部で見られるコミュニティ・バスのようなものも、かなり重要な存在になりそうだ。それはシニア層だけでなく、運転しない若年層を地方に食い止めるにも重要なインフラになるだろう。
 
まず、ロードサイドを中心に展開しているグループや会社は立地の長期的な将来性を見定め、駅前へのシフトを進めていく必要がある。投資家としてはそのような対応をしている企業は「買い」になるが、対応の遅れている会社は「売り」になる。また、魅力的な都市開発を行政や民間で進めていく必要がある。富山のように先手を打っているところは将来性があるが、対策が遅れている都市は近隣に人口が流れていく可能性が高い。
 
都市部に商業施設やレジャー施設、病院、役所機能、飲食店、学校などをまとめていけるかどうか―。そして、その周辺部に住居スペースをつくり、そこまでを市電やコミュニティ・バスなどでつなげていく、いわゆる「コンパクトシティ化」していくことは不可避である。
 
ビジネスパーソンにとって、このような地方の変化は大きなチャンスでもある。日本の人口は減るが、“移動”があるならば、そこには必ずお金が流れる。そのような大きな変化の潮流に対して先手を打つものが、ビジネスにおいては大きな利益を得ることができる。

逆に、その変化に気づけないものはチャンスを捉えられない。悪い場合は、資産を失うことになりかねないはずだ。


藤野英人 = 文 スズキ シゲオ = イラストレーション

 

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