北米

2024.12.02 11:30

イーロン・マスクが「OpenAIの営利企業化」に反発、差し止め命令申請

イーロン・マスク(Shutterstock.com)

イーロン・マスク(Shutterstock.com)

イーロン・マスクは、OpenAIが同社の投資家に対して「競合他社業の支援をしないよう求めている」と主張し、裁判所に差し止め命令を申請した。この競合他社には、マスクが率いるxAIが含まれており、この訴えは、マスクとかつてのビジネスパートナーであるOpenAIのサム・アルトマンとの対立の激化を示している。

マスクの弁護士であるマーク・トベロフは11月29日、連邦裁判所に仮差止命令の申立てを行った。この申立ては、OpenAIが非営利法人から営利法人へと移行するための計画を阻止するためのものだ。彼らは、OpenAIとマイクロソフトが業界を独占しようとしており、「競合の投資資本へのアクセスを遮断」し、この2社が「不当に入手した競争上の機密情報」を共有したと主張している。

マスクは、2015年12月にOpenAIが非営利企業として設立された際の共同会長だったが、2024年2月にカリフォルニア州の裁判所でOpenAIを訴えた。その際にマスクは、アルトマンと幹部らがマイクロソフトからの出資を受けて営利法人を設立したことが「設立時の合意」に違反し、OpenAIの「本来の使命」から極度に逸脱していると非難していた。

マスクは6月にこの訴訟を取り下げたが、8月に再び同じ理由でアルトマンやOpenAIらを相手取る訴訟を起こし、「アルトマンとその共犯者らに裏切られた」と主張している。

この訴訟は、OpenAIとそのパートナーが連邦の組織犯罪法に違反したとするもので、OpenAIが設立当初に「テクノロジーを人類の利益のために公開する」と誓ったにも関わらず、その約束を破ったと非難している。

マイクロソフトは、CNBCからのコメント要請に応じなかった。OpenAIの広報担当者は、この申立てが「根拠のない苦情を再利用している」とし、「完全に正当性を欠いている」と反論している。

アルトマンとOpenAIの幹部は、「マスクが最初はOpenAIを営利法人に変えることに賛成していた」と、最初の訴訟を起こされた際のブログで主張していた。このブログで彼らは、マスクが2018年に取締役会を離れた後に、OpenAIをテスラと統合しようとしたと述べていた。また、会社の幹部とマスクが交わしたEメールも公開しており、その中の1つでマスクは、「AIモデルの基盤となるサイエンスを公開しないことは、その悪用を防ぐ上で、まったく正当な行為だ」と述べていた。

2014年にYコンビネータのCEOに就任して以降にシリコンバレーの注目人物となったアルトマンは、2人のAI分野における対立が激化する以前は、マスクの弟子的な存在だったとされている。2019年のブログ記事で、アルトマンはマスクにスペースXの打ち上げ施設を案内してもらい、火星に巨大なロケットを送る計画について聞かされた際に大きな感銘を受けたと語っていた。

2人のテック業界における対立は、マスクが2018年にOpenAIを離れて以降に表面化した。それ以降にマスクはアルトマンを公然と批判している。

2023年7月にマスクは、OpenAIの競合のxAIの立ち上げを発表した。マスクがOpenAIの数十億ドル規模のマイクロソフトとのパートナーシップを批判する一方で、OpenAIはマスクが競合企業を立ち上げたことを非難しており、「我々がOpenAIの使命に向けて意味のある進展を遂げると彼らは訴訟を起こした」と反論している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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