欧州

2024.12.02 12:30

ウクライナ軍に待望の強力な機械化旅団が登場 問題は重要な装備の欠如

フランス陸軍のカエサル自走榴弾砲。2019年6月、ポーランド東部ケントシン(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

ウクライナ軍の最新旅団のひとつがフランスとポーランドでの3カ月近くの訓練を終え、このほどウクライナに到着した。この旅団、陸軍の第155独立機械化旅団は、ウクライナ軍が最近編成した十数個の新旅団のなかで、間違いなく最も重装備で、おそらく最も優秀な旅団だ。
とはいえ、第155機械化旅団は戦闘準備が整っているわけではない。現時点ではきわめて重要な装備を欠いているようだ。

2022年2月のロシアによる全面侵攻を受けて行われた初期の戦力拡大で、ウクライナ軍の陸軍と空挺強襲軍、海兵隊、領土防衛軍、およびウクライナ内務省の国家親衛隊の各地上部隊で構成されるウクライナの陸上兵力は、各2000人程度の旅団を100個ほどに増強された。

これは現役の軍隊の陸上兵力としては世界最大級だったが、それでも十分ではなかった。ウクライナ軍はロシア軍にはなお兵員数でも火力でも劣り、現状で1300km近くにおよぶ長い戦線で戦力が過度に引き伸ばされているため、最も優秀な旅団は休息や整備のために離脱する機会をなかなか得られなかった。

たとえば、米国製装甲車の運用で中心を担っている第47独立機械化旅団がそうだ。陸軍の精鋭部隊である第47機械化旅団は1年3カ月にわたり血みどろの戦闘に従事したあと、今秋ようやくローテーションで前線から離れることができたものの、その休息も早々に切り上げ、ウクライナ軍が8月に侵攻したロシア西部クルスク州へ増援に送り込まれている

あるいは陸軍の第72機械化旅団もそうだ。ウクライナ東部ドネツク州南西部の要塞都市ブフレダルを2年にわたり守っていた第72機械化旅団だが、ロシア軍の執拗な攻撃で損耗し、切望していた増援も結局来ず、9月に撤退に追い込まれた。これにより、ウクライナは重要な方面をロシア側に明け渡すことになった。

戦争で疲弊しているウクライナ軍部隊は助力を必要としている。2023年後半に新たに4個の陸軍旅団が編成されたものの、部分的な救援にしかならなかった。陸軍は今春以降、さらに7個旅団を立ち上げた。重装甲車が不足していたため、これらの新旅団の大半は歩兵旅団として発足したが、一部はのちに車両を配備され、名称も機械化旅団に変更している。
次ページ > 第155旅団はカエサル自走榴弾砲やレオパルト2A4戦車など屈指の装備を誇る

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事