食&酒

2024.12.14 15:15

「麹でキャラメリゼ」した1皿も。ムンバイのベストレストランは『至高』だった!

インドの屋台料理からヒントを得たコース料理


コースの内容は、インドのローカルフードを再構成したユニークな内容で、インドの食文化にも触れることができる興味深いものだった。例えば印象的だったのは、ムンバイで昔から愛されるバターパン「ブンマスカ」からヒントを得た一皿。
 
市中の老舗Yazdaniベーカリーは地元民で列ができていた

市中の老舗Yazdaniベーカリーは地元民で列ができていた

ムンバイには昔イランから移民したパールシー人(「ペルシャ人」が訛った言葉)が経営するレストランやイラニカフェがいまだに残り、一つの文化になっている。ヴァルン氏が「僕が世界で一番好きなバター」と誇る老舗のYazdaniベーカリーのブンマスカには、ふわふわのパンの間に、少し塩気の効いたあまいバターがたっぷり塗られていた。ミルクたっぷりの甘いマサラチャイと食べると、言葉を失う美味しさだ。
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この「昔ながらの味」を元にしたマスク流ブンマスカは、すべてコーンで構成され、チャイに見立てたコーンスープとともに供された。インドではモンスーンになると焼きとうもろこしが屋台に並ぶそうで、10月初旬に訪れた筆者も、雨期の名残を楽しむことができた。
 
▽マカイアタ(とうもろこし粉)で作ったシューの中に、スイートコーンとホワイトコーンのピクルスやコーンムースが詰められ、多層的な味わいに

マカイアタ(とうもろこし粉)で作ったシューの中に、スイートコーンとホワイトコーンのピクルスやコーンムースが詰められ、多層的な味わいに

そしてムンバイのストリートフードといえば、外せないのがパ二プリだ。パ二=水、プリ=揚げた生地を意味するように、薄い揚げボールのなかに、豆やじゃがいもや豆などの具材を好きに詰め、最後にスープを流し込んで、ぱくりと一口で食べる屋台料理だ。同店では、パニプリの中身に、ビーツやグリーンマンゴー、大根など様々な野菜を詰めて、オレンジ色のシーバックソーンのスープを注いで頂いた。市中でパ二プリを食べた後に同店を訪れると、ますます楽しいに違いない。
 


インド南部で広く庶民に食されているマサラ・ドーサには、なんと麹が使われていた。通常のドーサは自然発酵で一晩寝かせ、砂糖を少し加えてキャラメリゼするが、麹で二日間低温発酵させると、自然に生まれた甘みでキャラメリゼーションできるのだという。

約48席のマスク、2階の12席のバー(The Living Room)のほかに、2020年にはカウンター12席のみの「マスク・ラボ」―実験的なプライベートダイニングもオープン。奥にある「実験室」では、麹や味噌、ヴィネガー等を用いながら、様々な食材から発酵食品を造り、結果が良いものをコースに取り入れている。その実験室にも、さまざまな創意工夫が施されていた。例えば、家庭用の小さなファンで55~60度に保った箱の中で、野菜を低温でゆっくり火を入れて黒にんにくなどを作っている。
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「インドでは、アジアや他の国のように手に入らないものがたくさんある。だから、自分たちのやり方で考えて、物事を進めていくんだ」とヴァルン氏は話す。この考え方は、インドに広く根付いており、「ジュガード」と呼ばれている。即ち、限られたリソースのなかで問題解決を図る不屈の精神に基づいているのだ。
通常は捨ててしまう皮なども活用

通常は捨ててしまう皮なども活用

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文=水上彩 編集=石井節子

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