連日の大量の戦死者は、およそ1300kmにおよぶ戦線の大半でロシア軍が攻勢に出ていることの避けられない代償だ。露出した格好になる攻撃側はほぼ必ず、壕に入った防御側よりも多く人員を失うことになる。
ロシア軍の人的損害には防げたものもあるだろう。たとえば、21日にノボボジャネ方面を強襲したロシア軍部隊は、砲兵支援や航空支援をあまり受けられなかったようだ。各車両は、ドローンに対する単純だが効果的な防御策である煙幕を張ることすらしなかった。
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、ニック・レイノルズは10月にナショナル・インタレスト誌に寄せた論考で、ロシア軍の根本的な問題について解説している。レイノルズは「ウクライナに対する全面侵攻はロシアの地上軍(陸軍)にとって痛ましい大失敗になっている」と書き、「2022年と2023年には完全な敗北こそ免れたものの、損耗によって部隊の質は低下した」と続けている。
ロシア軍では、最も練度が高く、最も経験豊富な歩兵は少数の精鋭部隊に集まって存在する一方、練度の低い新兵があやふやな指揮のもとで前線部隊の大部分を占めている。レイノルズは、前者のような優秀な歩兵で構成される突撃分遣隊は有効だとしても、「現在のような運用法はあまり拡張できない」と指摘している。そして、後者のような入隊したばかりの歩兵が集団で攻撃すると、大量に殺戮される傾向にある。
ロシア軍の装甲部隊についても同様のことが言え、ウクライナで両軍とも配備している「精密な殺傷システムの組み合わせに現時点で対抗できていない」とレイノルズは説明している。たとえば戦車は、敵側から数km離れた比較的安全な場所から砲撃する一種の榴弾砲としては役に立つかもしれないが、「前線に近づけると損害を受ける」ことになる。
レイノルズは、ロシア軍では「ロシアの軍事文化と蔓延する人員軽視のために、作戦はよく言っても進めづらく、むしろ利用可能な兵力では遂行不可能なことが多い」と結論づけている。
(forbes.com 原文)