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働き方

2025.02.05 14:15

慶應大出身の漫画家が勉強ラブコメで描く「彼」と、ファスト&スローの理論

漫画家 矢島光氏

真っ直ぐなインテリを描きたい

「他人を助けるために知性を使う人を本当に美しく思います。知性を競争の道具にしない、決して相手を侮らない、冗談扱いしない、眼差しに傾斜のない真っ直ぐなインテリを描きたかったんです」
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自らは、どちらかといえば遅い思考の方が得意だという矢島氏。その特性は作品として昇華されただけでなく、『内観』においても役立ったようだ。

「せっかく専業漫画家になったのに、本気になるべきところで本道から逃げてしまった期間があって、それがいつまでも心のしこりになっていました。でも、カウンセラーさんや精神分析の先生に『どうして自分から病気になりに行ったと思いますか』と問われて、当時、自分はものすごい恐れを一人で抱えていたんだと気づきました。目の前の大きすぎるチャンスが恐くて恐くて、病気になることで逃げたんです。

そして、友達、担当さん、大切な人を愛する技術も、楽しい場所も、美味しいご飯の味も知らないことを、自分の人としての怠慢さではなく、『漫画なんか描いてるからこうなった』と言って、何よりも大事なものを捨てたんです。本当は、描きながらでもそれらを学ぶことはできたのに。
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この5年間でじっくりと時間をかけて、『間違ったことをしたけどしょうがなかったね』と自分の失敗をようやく許せるようになり、たくさんの担当編集さんにご迷惑をおかけしながら、やっとやっと描けた41ページが『丸勉(まるべん)』です。後悔がゼロになったわけではないし、一生かけてもゼロになることはないと思います。でも今は、漫画を描くことが本当に好きなんだという純粋な気持ちがすごく大きくなりましたね」

矢島氏の現在の前向きさは、自分自身の考え方の変化だけでなく、応援してくれる周囲の力によるところも大きい。

「なので今の職場には本当に感謝しています。専業の頃を考えると、隣に人がいるだけでもありがたいんです。冗談ではなく、毎日ベッドに入ると幸せだなと思いながら眠ることができています。

だからこれからも会社で働きながら漫画家を続けていきたい。そんなこと可能なのか分かりませんが、連載しながら会社に居続けられないかなって思ってしまっていますね(笑)」

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矢島光◎漫画家。1988年東京都生まれ。 慶應大学環境情報学部卒業後、サイバーエージェントに入社し、フロントエンジニアとして「アメーバピグ」の運営に携わる。2015年に退職、専業漫画家に。 著書に漫画『彼女のいる彼氏』『バトンの星』など。現在はメディアの編集部で経理アシスタントとしてアルバイトをしながら執筆に取り組む。

松尾優人◎2012年より金融企業勤務。現在はライターとして、書評などを中心に執筆している。

取材・文=松尾優人 編集=石井節子 撮影=藤井さおり

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