英国の下院は英国時間11月26日、この法案に対して415票対47票で賛成した。この法案が成立すれば、世界でも最も厳しい反喫煙法の1つとなる(実際の成立にはさらなる審議が必要で、修正案の提出も可能)。政府の閣僚や健康推進派はこの計画をおおむね称賛しているが、一部の議員は市民の自由への影響を懸念して批判している。
喫煙禁止法案とは?
「たばことベイプ法案」は、2009年以降に生まれた人々に対してたばこ製品、ハーブ喫煙製品、手巻きたばこ用の巻紙の販売を禁止するものである。つまり、この法案が通れば、現在15歳の若者のほとんどがこれらの商品を一生購入できなくなる。現在、英国では18歳未満へのたばこ製品の販売は違法だ。この法案はさらに、電子たばこ(ベイプ)の使用率を減少させるための規制も導入する予定だ。具体的には、電子たばこの広告や自動販売機での販売の禁止、一部フレーバーの電子たばこの販売制限、店舗での陳列方法の規制などが含まれる。また、スヌースのような口腔内たばこ(無煙たばこ)製品の販売も全面的に禁止される。これらの提案は、下院および上院でさらに審議を経て法制化される必要がある。
なぜ議員たちは喫煙禁止を目指しているのか?
この提案は、政府が掲げる「スモークフリー世代(喫煙しない世代)」を創出する計画の一環であり、法案は前首相リシ・スナクの政権で初めて提案され、現在の労働党政権によって再提出されたものだ。現在、英国の成人の約11.9%が喫煙しており、若者の間での喫煙率は長年の減少傾向から一転して増加している。喫煙は肺がん、心臓病、脳卒中など数多くの深刻な健康問題と強く関連しており、喫煙による健康被害はイングランドの公衆衛生システムに年間約26億ポンド(約4993億円)のコストをもたらしていると推定されている。
電子たばこは喫煙よりも安全と考えられているが、子どもや若者の間での人気は議員や活動家、公衆衛生当局にとって深刻な懸念事項だ。
「子どもの電子たばこ使用は驚くべき速さで増加しており、緊急の介入がなければ、長期的な中毒を抱える子どもたちの世代が生まれてしまいます」と、英国の保健・社会福祉大臣ウェス・ストリーティングは声明で述べた。
「明るい色のパッケージや『グミベア』や『レインボーバースト』といったフレーバーで、これらの有害な製品が意図的に子どもたちをターゲットにしているのは容認できません」
英国の国民保健サービス(NHS)で医療部門を率いるスティーブン・パウィスは、「喫煙は依然として予防可能な死因の主な要因であり、NHSに莫大な影響を与え、毎年数十億ポンドの費用がかかっています。政府やパートナーと協力して、次世代が紙巻たばこも電子たばこもない環境で成長できるようにすることを楽しみにしています」と付け加えた。
しかし、一部の議員たちはこの法案に反対している。影の保健大臣エドワード・アーガーは、大臣に特定の屋外場所での喫煙禁止を導入する権限を与える条項を批判した。
労働党政府と対立する自由民主党の保健担当スポークスパーソンであるヘレン・モーガンは、若者の電子たばこ使用を減らす計画には賛成しているものの、「市民の自由」と段階的な喫煙禁止の「実現可能性」について懸念を表明している。
(forbes.com 原文)