ロシア軍の新兵の余命が残酷なまでに短いのは驚くに当たらない。ウクライナの領土をできるだけ早く、できるだけ多く獲得する決意を固めたロシアは、十分な訓練を施さないまま兵士をウクライナの戦場に送り込み、必須の支援もなければ統率もきちんととれていない突撃に次々と投入しているからだ。
9月はロシア軍がこの戦争で最も大量の血を流した月になった。10月もあまり変わらなかった。ウクライナ軍が発表しているロシア軍の1日の損耗人数はここ数カ月、1500人を超える日が多い。米当局者やウクライナの公式発表によれば、この戦争でのロシア軍の累計死傷者は60万〜73万5000人あまりに達する可能性がある。
"Do not be wise in words - be wise in deeds."
— Defense of Ukraine (@DefenceU) November 27, 2024
Marcus Aurelius
The combat losses of the enemy from February 24, 2022 to November 27, 2024. pic.twitter.com/K0v5tkbRlR
ロシア軍は2023年後半に始めた東部攻勢で、今年2月にようやく要塞都市のアウジーウカを陥落させたあと、夏から秋にかけて、兵員数も火力も劣るウクライナ軍部隊を40kmほど西の防御拠点であるポクロウシクに押しやってきた。
その南方では9月以降、ロシア軍の強襲グループが、大きな犠牲を伴いながらも有効な翼側迂回機動を繰り返し、疲弊したブフレダル守備隊を撤退に追い込み、それをきっかけに現在はドネツク州南部のウクライナ軍の防御線全体が不安定になっている。
また、ウクライナ軍が8月から侵攻しているロシア西部クルスク州でも最近、ロシア軍の空挺部隊や海軍歩兵部隊、援軍の北朝鮮部隊で構成される総勢5万〜6万の反攻部隊が、ウクライナ軍の2万人規模の侵攻部隊が保持する650平方kmほどの突出部を押し込んできている。
ロシア軍が戦場で破滅的な損害を被りながら、なお前進の勢いを保っているのは、この戦争の最大のパラドックスのひとつだ。だが、このパラドックスは、いつまでも成立するわけではないと考えられる理由がある。ここへきて、ロシアはついに人員が不足してきている証拠がある。