スモール・ジャイアンツ アワードは、1.創業10年以上、2.売り上げ100億円未満、3.従業員数500人以下という条件のもと、規模は小さくても、独自の技術やアイデアで世界規模の活躍をする企業を発掘・表彰するForbes JAPANの名物プロジェクト。
前回のグランプリは、自社開発した汚泥脱水機を世界77カ国に輸出する、神奈川県のアムコンが受賞。歴代の受賞企業は、今年売り上げ100億円を突破したユニークなネーミングの草刈機を世界に輸出する筑水キャニコムや、脱炭素社会の新市場を生み出すべく新たに「アモルファス積層コア」の合弁会社を設立した金属切削加工メーカーのHILLTOPなどがあり、アワードを機にさらなる成長を続けている。
グランプリが2社という異例の展開
8回目となった今回は、日本熱源システムとクリプトン・フューチャー・メディアの2社がグランプリに選出される異例の展開となった。日本熱源システムは産業用冷凍機のトップメーカーとして、環境負荷の軽減を目指したイノベーション技術を磨いている。クリプトン・フューチャー・メディアは「初音ミク」の開発・販売で知られる会社で、音楽ソフトにとどまらずクリエイター支援のためのビジネスを地元・北海道を軸に世界で展開している。
選考プロセスは、中小企業基盤整備機構や野村證券、ベンチャー型事業承継、みずほ銀行など、全国の中小企業にネットワークをもつ12組のアドバイザリーボードに加えて、パートナー自治体などが候補企業を推薦。合計全国150社の企業から、書類審査を経てアワードに出場するファイナリスト7社が選出された。
アワード当日の審査員は、山井太(スノーピーク 代表取締役社長執行役員)、入山章栄(早稲田大学 ビジネススクール教授)、赤羽優子(ティ・ディ・シー 代表取締役社長)、内田研一(やまなし産業支援中小企業経営革新サポート事業統括マネージャー/SMALL GIANTS AWARD Executive Producer)、藤吉雅春(Forbes JAPAN編集長)の5人が担当。各審査員の立場から、「グローバル市場の開拓」と「地域への貢献」、「稼ぎ続ける力」の3点を審査基準にファイナリストたちの事業を評価した。
アワードは、各社の代表者が舞台上で自社独自の成長戦略やアイデア、いかに逆境を乗り越えて「小さな巨人」となったのかなどをプレゼンテーション。独自技術や海外へのビジネス展開、地域社会の活性化に向けた連携の取り組みなど、いずれも大きな可能性を感じさせる熱のこもったプレゼンが展開され、ファイナリストと審査員との質疑応答を通して、ビジネスモデルの解説や将来の可能性などにも言及した。
グランプリを受賞した日本熱源システムは、日本で初めて産業用CO2冷凍機「スーパーグリーン」を開発。冷凍・冷蔵庫は通常、温室効果の高いフロンガスを使い冷却しているために地球温暖化につながる一方、CO2は温室効果が低く環境負荷も少ないという。
同社では、冷凍機内に充填する気体である冷媒にフロンガスではなくCO2を使用。代表取締役の原田はプレゼンで、「私たちは自然界に元来存在する自然冷媒と呼ばれるCO2やアンモニアなどに注目し、製品開発においてはCO2に絞った。温暖化効果が小さくオゾン層も破壊せず、設計次第で省エネも実現できるメリットがある」と、その効果に言及した。