タラバットは、12月10日に予定するドバイ証券取引所への上場で15億ドル(約2280億円)の調達を見込んでいる。IPO価格の上限である1株44セントが適用されると、同社の評価額は102億ドル(約1兆5500億円)を上回る。この評価額は、IPO主幹事の1つのエミレーツNBD銀行が以前見積もった144億ドルからは、大幅な引き下げとなるものの、それでも今年世界で10番目に大きなIPOとなる見込みだと、金融取引プラットフォームのDealogicは述べている。
2024年の最大規模のIPOとしては、7月の米国における上場で40億ドル超を調達した低温物流大手の米Lineage(リネージュ)や、4月のアムステルダム市場への上場で20億ユーロ(約3400億円)を調達したプライベートエクイティ企業CVCなどが挙げられる。それでもなお、タラバットの上場は、調達額ベースで今年最大のテック企業によるIPOとなる見通しだ。
タラバットのIPOでの調達額は、Reddit(レディット)やクラウドデータ企業のRubrik(ルーブリック)、AIチップ設計のAstera Labs(アステララボ)といった企業のほぼ倍に達することになる。レディットは、3月のニューヨーク証券取引所のIPOで、56億ドルの評価額で7億4800万ドルを調達した後に、株価を約170%急上昇させた。
また、タラバットの調達額は、先月インドのボンベイ市場に上場した同業のSwiggy(スウィギー)の調達額の13億ドルをわずかに上回ると予想されている。
タラバットの親会社であるドイツのデリバリーヒーローは、2016年にタラバットを買収し、70カ国以上、4大陸にまたがる帝国を築いた。しかし、同社は厳しい競争と利益率の低下に直面する中、53億ドル以上の負債の一部を返済するために、上場後のタラバットの15%の株式を売却する計画だ。
一方、タラバットは今後、ウーバーが買収したCareem(カリーム)やサウジのJahez、さらには今年9月に中東に進出した中国のフードデリバリー大手Meituan(美団)などのライバルとの厳しい競争に直面することになる。
タラバットの上場は、ドバイやアブダビ、リヤドの証券取引所で近年続いてきた「上場ラッシュ」の一例とも言える。この流れは、アブダビ国営石油会社(ADNOC)などの国営企業の民営化によって推進されてきたが、近年では大手スーパーマーケットチェーン「ルル・リテール」のような地元企業も巻き込んでいる。
(forbes.com 原文)