その生息地はさまざまで、赤道に近い温暖な地域に生きる種もいる。ペンギンがいかに適応能力に優れた驚くべき鳥であるかがわかる4つの種を紹介しよう。
1. フンボルトペンギン──生息地:アタカマ砂漠

この過酷な土地では、並外れた生存能力をもつ動物しか生きられない。だが、ここには意外な住人がいる。フンボルトペンギン(学名:Spheniscus humboldti)だ。
フンボルトペンギンは、砂漠海岸に面した岩棚や洞窟に数千羽が集まって営巣している。本来はグアノという、動物の糞や死骸が堆積してできた地層に巣穴を掘り、すみかとしてきた。グアノは巣穴の保温の役目も果たすが、土壌の肥料にもなる。
フンボルトペンギンがこの地で生き延びられるもう一つのカギは、寒流のフンボルト海流である。南極氷河からの融水を南米大陸まで届けるこの海流のおかげで、アタカマ砂漠沿岸の海水温は、同緯度の他の海域と比べて数度も低いのだ。
2. マゼランペンギン──生息地:プンタトンボ(アルゼンチン)

マゼランペンギンは陸地を離れ、イカや甲殻類や小魚を求めて海に潜る。ペンギンの舌には棘が生えていて、滑りやすい魚介類を逃さない構造になっている。どの種もそうだが、ペンギンは陸上では運動能力抜群とはいえない。しかし、海中では敏捷なスイマーだ。
本種の自然分布域はアルゼンチンとチリだが、冬には食料を求め、遠くブラジル北部まで遠泳する。例外的なケースとして、中米やオーストラリア、ニュージーランドで、群れからはぐれたマゼランペンギンの個体が目撃されたこともある。