北米

2024.11.28 09:00

トランプ次期米大統領、中国への追加関税を約束 メキシコ・カナダ製品にも

米国のドナルド・トランプ次期大統領。2024年11月13日撮影(Allison Robbert-Pool/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ次期大統領は25日、就任後に中国、メキシコ、カナダからの輸入品に対する関税の適用を拡大すると発表した。

トランプ次期大統領は来年1月の就任後、直ちにメキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名すると宣言。関税の適用期間については「薬物、特にフェンタニル、そしてすべての不法な外国人がわが国に侵入しなくなるまで」続けると述べた。(訳注:米国は現在、メキシコ・カナダとの間で「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」と呼ばれる自由貿易協定を結び、互いに関税を撤廃している。)

さらに、中国製のフェンタニルを例に挙げ、中国製品には追加で10%の関税を課すと約束した。トランプ次期大統領は、前政権時にも総額で2000億ドル(約30兆円)相当の中国からの輸入品に追加関税を課したことで、同国との貿易戦争を引き起こした。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、同次期大統領は先の大統領選挙期間中、すべての輸入品に一律10%、中国製品には60%の関税を課すと宣言していた。現行の関税率は平均でそれぞれ1%と11%であり、公約が実行されれば大幅な引き上げとなる。

トランプ次期大統領は選挙期間中、外国製品に関税をかければ企業は米国内で製造するようになり、連邦赤字が縮小すると主張し、関税の引き上げを公約に掲げていた。だが、関税の引き上げによって消費者にしわ寄せがいくとの批判も出ている。米金融大手ゴールドマン・サックスのアナリストらは、実効関税率が1%上昇するごとに消費財の価格が0.1%上昇すると予測している。

同次期大統領は、関税は米国民の雇用を守り、消費者の負担にはならないと主張しているが、この見解は経済専門家らの意見とは合致していない。これまで関税は、消費者に外国製品より国内製品を購入させる手段と見なされてきたが、関税による追加費用の多くは消費者が支払うことになり、経済成長が阻害される可能性があると指摘する専門家もいる。

19日に米CNBCの番組に出演した米小売り最大手ウォルマートのジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は、関税が価格上昇を招く可能性を示唆。その上で、関税が引き上げられた場合、同社は卸売業者や自社のプライベートブランドと協力し、価格引き下げに努めると述べた。また、米国で精製されるガソリンの4分の1近くはカナダ産の原油を原料としているため、関税の適用によってガソリン価格も上昇する可能性がある。

輸出入税は18世紀後半には政府の歳入の大部分を占めていた。だが、現代では過去75年以上にわたり、関税収入が米政府の歳入に占める割合は1%にも満たない。トランプ次期大統領はかつて、所得税を撤廃し、関税で埋め合わせることも提案していた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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