2024年はCX品質が低下
2023年は3つの銀行が破綻するという激動の年となったが、2024年は大きな利益こそ得られなかったものの、ある程度、安定した状況を取り戻した。しかし、大手金融機関は、投資銀行業務や資産運用の管理手数料によって縮小する純利ざやを補うことができたが、2022年や2023年の利益水準に戻ると期待する者はほとんどいない。さらに、2024年は銀行のCX品質が低下した年となった。米国の銀行CX品質は3年連続で低下し、オーストラリアでは過去最低を記録、EUでも2023年から大幅に悪化した。CX品質の低下により顧客の忠誠心も低下するため、これは重要な問題である。
イノベーションの必要性
銀行の経営者たちは、競争力を維持し、顧客の忠誠心を確保したいのであれば、製品やサービスのイノベーションに力を注ぐ必要がある。特に「会話型バンキング」(AIを活用して顧客との対話を行い銀行サービスを提供すること)や預金商品に関する分野でのイノベーションが求められている。しかし、旧式のインフラや煩雑な規制遵守の問題がイノベーションの妨げとなっていることも事実だ。それでも、決意と戦略的な思考、そして次世代のデジタルプラットフォームへの投資によって、銀行はこれらの障害を克服し、より革新的で顧客中心の銀行体験への道を切り開くことが可能なのである。