アート

2024.12.08 14:15

アート・バーゼルとパリの組み合わせが最強かもしれない理由

アート・バーゼル・パリのパートナーであるルイ・ヴィトンがフランク・ゲイリーとの長年のコラボレーション祝福した特別展示ブース。

アート・バーゼル・パリのパートナーであるルイ・ヴィトンがフランク・ゲイリーとの長年のコラボレーション祝福した特別展示ブース。

1900年の万国博覧会のために建設されたパリのランドマーク、グラン・パレのシンボルである巨大なガラス屋根から、秋とは思えない陽光が降り注ぐ。10月16日、「アート・バーゼル・パリ」のVIPプレビューの日を迎えたグラン・パレは、世界各国から集まったコレクター、アーティスト、美術館関係者、セレブリティなど多くの来場者とともに華やかな熱気に包まれた。
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来場者がスマートフォンやカメラを向ける先は、パリ五輪のために3年の改装を経て美しく蘇ったグラン・パレの建築。ミントグリーンの鉄とガラスで覆われたガラスの大屋根や壮麗な大階段など、アートフェアで大勢がアート作品以外の被写体にカメラを向ける光景に驚いた。
パリ五輪ではフェンシングの会場となったグラン・パレのエントランス。一般開催日の初日となった18日朝には入場者の長蛇の列がシャンゼリゼ通りまで伸びた。

パリ五輪ではフェンシングの会場となったグラン・パレのエントランス。一般開催日の初日朝には入場者の長蛇の列がシャンゼリゼ通りまで伸びた。

2022年、2023年に仮設会場グランパレ・エフェメールで開催された「パリ・プラス(Paris+ par Art Basel)」が「アート・バーゼル・パリ」と改称し、10月18日〜20日(16日と17日はVIPプレビュー)に開催されたフェアには、現地フランスでギャラリーを運営する65ギャラリーを含め、42の国と地域から195のギャラリーが集まった。

メインセクトの「ギャラリー」ではルイーズ・ブルジョワ、ウィレム・デ・クーニング、ゲルハルト・リヒター、草間彌生、李禹煥など、20世紀の巨匠から世界的な現代美術家、さらに新進気鋭の作家など高い評価を誇るアーティストの作品が展示され、会期全体で6万5000人以上が来場。

グラン・パレのみでなくプチ・パレ、コンコルド広場、パレ・ロワイヤル、ヴァンドーム広場などパリの誇る美しいランドマークにも、ギャラリーが提供する現代アート作品が展示され、夏の五輪さながら、パリ市街を舞台にアートの祭典が繰り広げられた。
パレロワイヤルに展示されたブラジルの現代美術家、アミルカル・アウグスト・ペレイラ・デ・カストロの彫刻作品。Courtesy of Art Basel

パレロワイヤルに展示されたブラジルの現代美術家、アミルカル・アウグスト・ペレイラ・デ・カストロの彫刻作品。(C)Art Basel

アート・バーゼル・パリのレポートの前に、その成り立ちを説明しておこう。アート・バーゼルが「パリプラス」としてパリに進出を果たすわずか一年前まで、芸術の秋のパリの風物詩といえば10月に開催される現代アートフェアFIAC(Foire Internationale d'Art Contemporain)と11月に開催される写真に特化したパリフォト(Paris Photo)だった。
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共にフランスおよび世界各地で見本市を開催しているRXフランスが主催する国際商業フェアで、FIACは70年代からグラン・パレを会場にしてきた歴史あるアートフェアだが、2021年を最後に開催されていない。アートバーゼルの運営会社であるMCHが、その後7年間の使用権を落札したためだ。
期間中、グラン・パレとプチ・パレに挟まれたウィンストン・チャーチル・アベニューは歩行者天国となり、高さ2メートルを超える草間彌生のブロンズ製の《かぼちゃ》も登場。

期間中、グラン・パレとプチ・パレに挟まれたウィンストン・チャーチル・アベニューは歩行者天国となり、高さ2メートルを超える草間彌生のブロンズ製の《かぼちゃ》も登場。

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取材・文=藤野淑恵

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