カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事の事務所は11月25日、トランプが連邦政府による最大7500ドル(約115万円)の税額控除を廃止した場合、州が独自に同じ金額の控除を再開する計画であることを発表した。しかし、同州の計画は、市場シェアの小さい自動車メーカーに限定したものになる可能性があり、ブルームバーグとニューヨーク・タイムズは、その場合にテスラ車の購入者が対象外になると報じた。テスラは、第3四半期にカリフォルニア州における新車のEV販売台数の56%を占めていた。
ニューサム知事の広報担当者は、州が小規模なEVメーカーを支援するために、テスラをこの計画の対象から除外する可能性があることを示唆した。
これに対し、マスクはブルームバーグの記事を引用したX(旧ツイッター)の投稿で「こんなのは狂っている」とコメントし、「テスラはカリフォルニアでEVを製造している唯一の企業だ」と主張した。
フォーブスはこの主張の根拠を確認できていないが、テスラの競合であるルーシッドやリヴィアンはカリフォルニア州で車を製造していない。ブルームバーグによれば、カリフォルニア州フリーモントにあるテスラの工場は2021年に全米で最も生産性が高い自動車製造工場だった。
連邦政府のEVの税額控除の廃止がテスラに与える影響については、最近多くの議論が交わされている。この控除は、購入者に実質的な割引をもたらすもので、テスラにとって重要な販売促進要因とされている。
ウォール街のアナリストらは、連邦プログラムの終了がテスラ以外のEVメーカーにとって、より大きな打撃となるという見方でほぼ一致しているが、カリフォルニア州という重要な市場における新たな障壁はテスラに新たな困難をもたらす可能性がある。
「控除がなくなれば、テスラは、さらなる価格の調整を迫られるかもしれない」とUBSのアナリスト、ジョセフ・スパックは25日の顧客向けメモで指摘し、テスラがさらなる価格の引き下げに踏み切る可能性を示唆した。これにより、同社の不安定な利益率は圧迫される。
カリフォルニア州と対立するマスク
米エネルギー省のデータによると、米国で登録されたEVの35%がカリフォルニア州に集中している。同州で登録されたEVは126万台で、次に多いフロリダ州の約5倍となっている。テスラ株は、25日の市場で前日比で4%下落したが、大統領選以降では30%以上上昇している。この上昇は、マスクがトランプと親密な関係を築いていることが、同社に有利な規制環境をもたらすという投資家の楽観的な見方に後押しされている。
「テスラ株の上昇は、事業見通しの根本的な変化というよりも、投資家心理に基づいたものだ」と、テスラ株を「売り」の評価としているUBSのスパックは述べている。25日のテスラ株の下落が今回のニュースに関連しているかは不明だが、当日の株価の終値は、朝の取引開始直後のピークから6%以上下落した。
マスクは、長年カリフォルニア州とニューサム知事と対立状態にあり、2021年にはテスラの本社をシリコンバレーからテキサス州に移転した。これを機に彼は、保守派の政治に傾倒する動きを見せている。
(forbes.com 原文)