前回行われた飛行テストIFT 5(10月13日)では、第1段ブースターが巨大なタワーアームにキャッチされたが、今回はブースターの自動ヘルスチェック機能によってタワーへの着陸は回避され、メキシコ湾沖に軟着水した。
飛行テストが前回テストからわずか37日で実施されるのは過去最短だが、その打ち上げペースを月2回以上に引き上げることを米連邦航空局(FAA)が11月22日に承認。マスク氏が「政府効率化省」のトップに就任した効果がさっそく表れた。
2025年1月11日に実施予定の次回テストには新バージョンの「スターシップ・ブロック2」が投入され、さらに2025年内には全長150mのブロック3「タンカー」の飛行テストも開始される見込み。アルテミス3計画による有人月面着陸ミッションが2026年9月に迫るなか、スターシップの開発速度はさらに加速しそうだ。
準軌道上でのストレステスト
米中部時間11月19日16時、テキサス州にあるスペースXの私設射場「スターベース」から6機目となるスターシップが打ち上げられた。リフトオフから2分42秒後、高度68kmで第1段ブースターが切り離されると、第2段の宇宙船(スターシップ)は前回と同様、準軌道(地球周回軌道には乗らない軌道)を航行した。
打ち上げから20分後には時速2万6320km(秒速7.3km)、最大高度190kmに達し、その15分後にはエンジン1基だけを使用した再点火テストが実施され、4秒間の再燃焼に成功した。これは地球周回軌道を離脱して帰還するために必須な機能であり、今回の飛行でもっとも重要なテスト項目のひとつだった。
打ち上げから47分後、インド洋上で大気圏に再突入した際には、意図的に機体を起立させて迎角を大きくし、過度な負荷を機体に与えて耐熱タイルの耐性が確認された。また、機速が音速を下回って高度2kmまで降下すると、あえて機首を下げ、後部フラップ(舵)に掛かる負荷を高めてその限界値を探った。