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2024.11.29 16:00

文化と産業を接続しお茶の精神性を世界に──茶人起業家・岩本涼が体現するカルチャープレナー的価値観

「大人がオンやオフで本当に着たい服を楽しみながらショッピングできる、大人のためのストア」をコンセプトにしたスペシャリティストア・エストネーション。中でも美術館をストアコンセプトにした大阪店は、広い空間にやわらかな光が差し込む、心地の良い空間になっている。

2024年10月29日には、この場所でForbes JAPANとのコラボレーションによるイベント「Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS 30×ESTNATION 伝統と革新の交差点」が開催された。

トークセッションでは、これからの活躍が期待される文化起業家を表彰するアワード「Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS 30」を過去に受賞した2人が登壇。4つのカテゴリーを展開するエストネーションのセットアップを身に纏い、「伝統と革新の交差点」や「日本文化から世界へ発信できるメッセージ」などをテーマにユニークな対話が交わされた。

今回は、登壇者の1人である岩本涼にインタビューを実施。23歳で裏千家の宗名(岩本宗涼)を与えられた茶人であり、2018年にはお茶という産業と茶の湯という文化に向き合うベンチャー「TeaRoom」を創業した起業家でもある岩本。文化と産業の架け橋になり、「調和」を重んじるお茶の精神性を次世代へ受け継ぐために奮闘している期待のカルチャープレナーに、伝統文化を現代に伝えていく価値を訊いた。


幼少期にテレビで茶人の姿を見て圧倒された経験から9歳のときに茶道・裏千家に入門し、それ以降お茶を突き詰めてきた岩本涼。茶の湯文化のプロデュース事業などを主軸にしたベンチャー「TeaRoom」を21歳で創業し、静岡市に茶畑と工場を構えて日本茶の生産から販売までを手がけている。そんな岩本に改めて問うた。今の時代に、日本の伝統文化である「茶の湯」や「お茶」はどのような価値を持つのだろうかと。

「西洋諸国と日本の違いとしてよく挙げられるのは、西洋はクリスマスやイースターといった特別な日を祝うのに対し、日本は日常の些細な出来事を祝うということです。この違いは、日本に天災が多かったことに由来していると思います。いつどこで天変地異が起こるかわからない日々に生きているからこそ、何事もなく経過していく日常を愛でる感覚が染みついているのだと。

『お茶を飲む』というのは、最も日常的な行為です。これをあえて様式化することで、日本人は他者と時間を分かち合う喜びを実感してきました。現代においては、悲しいことに世界中でいつ戦争が起こってもおかしくない時代になってしまった。そうした中で、西洋諸国においても『日常を祝う』思想には普遍的な価値が生まれています。だからこそ、“小さな理想郷”とも言える茶室の空間を世界に届ける必要があると考えています」

お茶の文化を伝えるために世界中に産業の接点をつくる

茶の湯の文化が持つ「調和」の精神性。それを最大限に活かし、TeaRoomは「対立のない優しい世界を目指して」を企業理念に掲げる。「対立」というのは国家間や文化間の関係だけを意味しない。独自路線を進みがちな「カルチャー」と「ビジネス」を接続することで双方の価値を高めているのが、岩本がカルチャープレナーとして注目される所以でもある。

「茶室へと人を呼び寄せ茶の湯の精神を感じてもらうためには、まずは世界中にお茶とのタッチポイントを増やす必要があると思っています。金沢にあるすし屋の名店『小松弥助』の大将は『ずしとすし』という考え方をよく使いますが、回転“ずし”があるから老舗の“すし”屋の価値が上がると言うんです。それは逆も言える。一部のパトロンだけの高貴な食べ物に留まるのではなく全国民に受け入れられる食文化になるためには回転ずしと老舗すし屋の相互補完的な関係が重要になるんです。

私たちもこの考え方で、文化へと接続するために全世界にお茶との接点をつくっていきたいと思っています。アメリカでは、抹茶ラテが身近に受け入れられているけれど、京都へ観光しにきて茶室へ飛び込むのはハードルが高い。そうした中で、ただ儲けようと世界中で抹茶ラテを売るのではなく、抹茶ラテと茶室の間に橋を架けるのがTeaRoomの役目だと思っています」

普遍的な価値の中に革新性を織り込んだファッション

デニムシャツ¥63,800〈onegravity〉、カットソー¥24,200〈Bofil〉、デニムパンツ¥60,500〈onegravity〉 靴 本人私物        

デニムシャツ¥63,800〈onegravity〉、カットソー¥24,200〈Bofil〉、デニムパンツ¥60,500〈onegravity〉 靴 本人私物

伝統文化を次世代へ受け継ぐために、現代に合わせたアップデートを重ねながら事業を展開している岩本。そんな岩本が今回のイベントで着用したのは、伝統的なスタイルを受け継ぎながらも革新的な印象をつくり出す点で共鳴するエストネーションのセットアップだ。今季のエストネーションは4つのカテゴリーに分類できる多種多様なセットアップを用意しているが、その中で岩本は「Designers(デザイナーズ)」の一着を選んだ。

「デニム生地のセットアップですが、硬派にも革新的にも見えるところが面白いと思います。格調高い商談からお茶会の下見といった実務的な場面まで、横断して着ることができる普遍的な価値を感じるんですよね。着心地は少しゆったりしていながらも、どこか着物のような着こなしやすさがある。自分が歩いた背後に光が差すような感覚をもたらしてくれます。

服装や所作によって自らの力量を判断されることも多い業界なので、普段から着るものは意識して選んでいますね。特に、海外に出るときは日本の代表として行きますので、日本らしいストーリーを感じられるデザインを選びたくなる。格調高い場面でただそれっぽいジャケットを羽織っても面白くないので、革新性を織り込んだ服を好む傾向にありますね。その意味ではすごくしっくりくるセットアップだと思います」

この時代だからこそ、茶の湯の文化を多くの人に伝えたい


セットアップに対して「着物のよう」という言葉も飛び出したが、茶の湯文化におけるファッション=着物にも、今の時代に求められる日本ならではの価値観が宿っていると岩本は言う。

「服はS/M/Lといったサイズがあるのが基本で、人間がサイズを決めていますよね。しかし、着物の場合は基本的にサイズはなく、技術を有した着付けさえできれば誰でも同じものを着ることができるという特性があります。風呂敷とカバン、箸とフォークの関係にも同じことが言える。これは、人間が自然を扱うのではなく、人間も自然の一部であるという日本的な価値観が背景にあるんです。自然を人間に順応させるのではなく、技術を覚えることで自然の中で生かせてもらう。こうした自然主体の考え方も、今の時代に必要な感性だと思います」

岩本の目下の目標は、こうした日本独自の価値観やお茶の精神性を海外にも広げていくこと。そのために、「抹茶ラテ」のようなお茶との身近な接点を増やすことに余念がない。最近はアメリカやインド、タイなどにもマーケットを開拓している。タイの財閥企業デュシット・インターナショナルが京都にホテルをオープンする際には「ジャパナイズ(日本化)」をテーマにし、日本文化を体験する場をプロデュース。日本に参入する意義を付加した。

「日本に訪れる多くの方々が、お茶の文化に共感し、今を生きることの大切さを知る姿を目撃してきました。お茶会が終わったあとに外へ出て、『この道端に降り積もった落ち葉さえも意味があるんだね』と言われたときには驚きましたね。死も生の一部であり、一つひとつのものすべてに愛でる意味がある。明日どうなるかわからない時代に生きているからこそ、些細な出来事を祝う価値観をより多くの人に伝えていくのが、私たちのミッションだと思っています」

エストネーション
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いわもと・りょう◎1997年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。TeaRoom代表取締役CEO、茶道家。裏千家での茶歴は17年を超え岩本宗涼という茶名も持つ。『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022』『CULTURE-PRENEURS AWARD 2023』受賞。

Promoted by ESTNATION / text by Kohei Hara / photographs by Makoto Koike / edited by Mao Takeda / hair & make by Aoi Ueda