ロシア軍部隊は2週間あまりにわたってウクライナ軍部隊と激しい戦いを繰り広げてきたが、ほとんど前進できていない。スジャに向かう道路のゼリョーヌイ・シュリャフ付近には、何十両もの装甲車両の残骸という形でロシア軍の失敗の証拠が残されている。
とはいえロシア側はあきらめるつもりなどなく、間もなくこの方面で過去最大の攻勢に出る可能性がある。ロシア軍は第76、第106両親衛空挺師団の部隊や第83独立空挺強襲旅団、再建された第155独立親衛海軍歩兵旅団、そして数千人以上の北朝鮮部隊を投入し、この方面の部隊を総勢およそ5万人規模に増強している。これらの部隊はゼリョーヌイ・シュリャフの北西方面に配置されている。
クルスク州のウクライナ軍部隊を支援しているウクライナ海兵隊のドローン(無人機)操縦士、Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)は「クルスク州のわたしのいる方面で近々、ロシア軍が大規模な進攻を始めると予想されています。愚見ですが、ロシア軍はそれに成功するのではないか」と書いている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア軍がクルスク州からウクライナ軍を排除する新たな期限を来年2月初めに設定したとも伝えられる。しかし、本当の期限はどうもドナルド・トランプ次期米大統領が就任する来年1月20日のようだ。トランプはこの戦争を終結させると宣言しているが、そのがさつな案は、戦線を現状で凍結するという強制し得ない停戦の成立にかかっている。
プーチンはウクライナの領土の2割近くを手に入れられる停戦には満足しても、たとえわずかでもクルスク州の一部を手放すのは不満だろう。時間は刻々と過ぎている。Kriegsforscherは「ロシア軍の2個空挺師団、1個空挺旅団、1個海軍歩兵旅団が、多くの機動をともなう攻撃を始めるでしょう」と警告を発している。