起業家

2024.11.27 09:00

挑戦に年齢制限はない、「50歳からの起業」ならではの強み

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筆者には、いつもエネルギッシュな52歳の友人がいる。先ごろ、その彼女の話を聞いていたときに、思わずその場で立ち止まってしまった。彼女は、事業を興すという胸躍る冒険に乗り出したところだった。それは、ずっと前から夢に描いてきた挑戦だ。そして、起業に向けたある話し合いの席で、採用したウェブデザイナーからこう聞かれたそうだ。「起業するには年を取りすぎているという不安はありませんか?」と。

これは、驚きであると同時に、腹立たしい質問だった。その根底には、私たちが頻繁に見聞きする1つの前提がある。つまり、起業は若者が挑戦するものだという思い込みだ。ただし、はっきり言わせてほしい。起業の世界には、年齢を問わず、誰もが活躍できる場がたくさんある、と。

年齢は、イノベーションの前に立ちはだかる壁ではない

友人とウェブデザイナーとの会話には、より広範な社会的誤解が反映されている。つまり、若さこそがイノベーションや野望とイコールであるという思い込みだ。しかし実のところ、50歳を超えた起業家には、若い起業家にはない次のような強みがある。

・経験:公私ともに、長きにわたって積み重ねてきた学びがある。つまり、すでに深い知識をもった状態でスタートできるということだ

・へこたれない強さ:それまでの人生には、いいときもあれば悪いときもあり、それを乗り越えて強くなってきた。いかに方向を転換し、どう耐え忍べばいいのかを理解している

・明確さ:人生も半ばに差しかかれば、自分が何に情熱を傾けたいのかが明確になっており、物おじせずに目標を追求する自信もある

50歳を超えてからの起業は、賭けではなく、戦略的な行動なのだ。

ビジネスで年齢が称賛されるべき理由とは

起業は、単にビジネスを立ち上げることではない。起業とは、問題を解決し、ニーズを満たし、価値を生み出すことだ。こうしたスキルには、年齢制限など存在しない。それどころか、50歳を超えた起業家の方が、若い起業家よりも成功をしやすいことが、米国勢調査局とマサチューセッツ工科大学の研究で明らかになっている。

なぜなら、50歳を超えた起業家は、知恵と広い視点、実用的なノウハウを身に着けており、それを生かせるからだ。数十年にわたってスキルを磨き、人脈を築き、社会の仕組みを理解してきた成果がある。

ステレオタイプに抗う

冒頭で紹介した私の友人は、ウェブデザイナーの問いかけに対し、いかにも彼女らしく、自信を持ってこう返答した。「どうして不安を感じなくてはならないのか。私の年齢は、私の強みだ」

彼女の言うとおりだ。

起業は、若者や最先端を行く人のためだけのものではない。ビジョンと確固たる意思、リスクを恐れぬ勇気をもつすべての人のためにある。私たちのような経験を積んだ人間にしか生み出せないビジネスやアイデアを、世界は必要としている。

とりわけ女性にとって、人生が後半戦に突入してからの起業は、パワーやパーパス(人生の目標)、経済的自立を取り戻す手段となる。表舞台に立ち、成功に有効期限などないことを示すチャンスだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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