PER(株価収益率)上昇の背景は?
販売量の減少によるマイナス要素が価格の上昇によってほぼ打ち消されたため、投資家も最近アルトリア株に好印象を抱いている。また、経口たばこ製品からの収益が増加していることも、同社にとってプラス材料だ。現在、米国のたばこ市場では、インフレ率の高まりなどにより、一部の顧客はより安価なブランドに流れている。実際、たばこ市場全体に占めるマルボロ(アルトリアの主力たばこブランド)のシェアは、2021年の42.9%から41.9%へと低下している。しかし、米連邦準備銀行(FRB)はインフレを抑制しながら利下げ方向へと向かうことに注力しており、これが実現されれば消費者心理に好影響を与え、今後は販売量の減少が緩やかになる可能性もあるだろう。さらに、同社は今年初めにベルギーの酒類メーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブへの出資比率を引き下げ、それにより生まれた資金を自社株の買い戻しに充てることを決定したが、これも投資家に好印象を与えた。
アルトリア株に成長の余地はあるか?
アルトリア株の年間リターンは、S&P500種株価指数よりもかなり変動が少ない。年間リターンは、2021年に24%、2022年に4%、2023年にマイナス4%、そして2024年における現在までのリターンは48%である。バリュエーションについて、私たちはアルトリア株が現在十分に値付けされていると考えている。私たちはアルトリアの目標株価を48ドルとしているが、これは現在の株価よりも約15%ほど低い水準だ。この目標株価は、アルトリア株の適正なPERを9倍とし、それに2024年の予想年間EPSを5.13ドルとして掛け合わせたものだ。PER9倍という数字は、アルトリア株の過去3年間における予想PERの平均値と一致している。
投資家はリスクも考慮すべきである。関税の増加、政権の交代、税率の低下といった可能性も含むさまざまな要因があり、FRBが今後数カ月でインフレの抑制に成功することは難しいだろう。また、インフレ率が上昇してしまい、FRBが利下げを一時停止するようなことがあれば、それは消費者心理に影を落とし、ひいてはアルトリアの収益源につながる可能性もある。
(forbes.com原文)