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2024.11.26 10:30

アプリ収益化の米AppLovin、株価急騰で「5人目のビリオネア」が誕生

Photo Illustration by Piotr Swat/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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アプリの開発者を支援するマーケティングソフトウェア企業AppLovin(アップラビン)の株価は、今年の年初から700%以上も急騰しており、直近の2週間だけでほぼ2倍に上昇した。

これを受け、パロアルトを拠点とする同社の元プレジデントで元CFOのヘラルド・チェンが、同社出身として5人目のビリオネアとなった。フォーブスは、2019年にAppLovinに参加したチェンの保有資産が、14億ドル(約2170億円)に達したと見積もっている。彼は、2023年末にプレジデントとCFOを辞任した。

AppLovinの時価総額は、同社が第3四半期決算を発表した11月6日以降に、98%上昇して約1120億ドル(約17兆3000億円)に達している。同社の四半期の売上高と純利益は、予想を上回る12億ドル(約1844億円)と4億3400万ドル(約667億円)だった。チェンは、AppLovinの株式のほぼ1%を保有しているが、2011年に同社を共同創業したCEOのアダム・フォロウギは、ほぼ13%を保有しており、推定100億ドル(約1兆5400億円)の資産を持っている。

さらに共同創業者のジョン・クリスティナックとアンドリュー・カラム、初期投資家のリン・タンらもビリオネアになっている。

AppLovinは、2024年の年初からの9カ月間で前年同期比43%増の33億ドル(約5072億円)の収益を上げた。同社の売上高の約3分の2は、AppLovinのプラットフォームを使用してコンテンツの成長と収益化を行うアプリの開発者から支払われる手数料によるものだ。残りの収益は、AppLovinが所有する200以上の無料モバイルゲーム内でのアプリ内課金や広告による収益だ。同社の株式は現在、過去12カ月の売上高の25倍という高値で取引されている。

一部のアナリストは、数億人のモバイルゲームのプレイヤーからデータを収集し、人工知能(AI)を用いた分析を通じて開発者の広告効果を向上させているAppLovinの株価パフォーマンスが、エヌビディアをはるかに上回ったことから、今年の新たな「AIモンスター株」と呼んでいる。

現在54歳のチェンは、1993年にペンシルバニア大学を卒業した後に、ゴールドマン・サックスにアナリストとして勤務し、1995年に大手投資ファンドのKKRに入社。その2年後にスタンフォード大学でMBAを取得するために、同社を離れ、1999年にクラウドサービス企業Jamcrackerを設立した。チェンは、その後、プライベートエクイティ会社のFox Paine & Companyで4年間勤務した後、2007年にKKRに復帰した。
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編集=上田裕資

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