政治

2024.11.25 12:00

トランプが財務長官に指名した62歳の「エリート投資家」の素顔

財務長官に指名されたスコット・ベッセント(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

ドナルド・トランプ次期米国大統領は11月22日、財政政策のかじ取りを担う財務長官にヘッジファンド界の大物、スコット・ベッセントを起用すると発表した。民主党の大口献金者であるジョージ・ソロスと関係の深いファンドに勤務していたウォール街のベテランの彼は、同ポストを巡る激しい権力闘争を勝ち抜き、トランプエコノミーの形成において最も注目される人物となる可能性が高い。

トランプは22日の声明でベッセントを指名したことを発表し、「スコットは、米国の競争力を推進し、不公正な貿易不均衡を阻止する私の政策を支持するだろう」と語った。

サウスカロライナ州の出身で、1984年にイェール大学を卒業したベッセントは現在62歳で、マクロヘッジファンドのキー・スクエア・グループの創業者としても知られている。

彼は、1991年から2000年にかけてソロスのもとで働き、退社時にはそこで欧州部門のトップを務めていた。その後、2011年に再びソロスのファンドに戻り、2015年にかけて最高投資責任者を務め、再び退社してキー・スクエアを創業するためにソロスから20億ドル(約3074億円)の出資を受けた。ただし、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、ベッセントは、数年前からソロスと会話をしていないという。

トランプの経済政策に関する主要アドバイザーでもある彼は、今年の大統領選でトランプと共和党の活動に約300万ドル(約4億6400万円)の政治献金を行っており、先日のフォーブスのインタビューでは、トランプを「経済政策において非常に洗練された人物」と評価する一方で、カマラ・ハリス副大統領を「経済について無知」と評していた。

共和党の上院議員のリンジー・グラハムは、「彼は、素晴らしい財務長官になるはずだ」とニュースサイトのSemaforに語り、トランプの政権移行チームに対してベッセントを経済関連のトップに据えるよう提案したと明かした。
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編集=上田裕資

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