ロシア軍の指揮官が、2年9カ月たつ全面戦争の前線近くで相変わらず白昼堂々と訓練をさせていることは、ロシア軍内でリーダーシップに絡む問題がはびこっていることを物語る。ウクライナ軍がロシア軍の訓練中の兵士に加え、指揮官やその幕僚に対する攻撃も強化するなか、この問題は今後さらに悪化しそうだ。
ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア側支配地域のどこかで21日かその少し前、民生用のバンからロシア兵十数人が降りてきた。ウクライナ軍のドローン(無人機)は上空からその様子を静かに監視していた。ほどなくして、ウクライナ側の前線から92km以内に展開していたウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)から、M30またはM31ロケット弾1発が発射された。
ロケット弾は訓練兵らのすぐ近くに着弾し、殺傷性の金属片を彼らや車両に浴びせた。ドローンの映像によれば、訓練兵少なくとも5人が死亡するか重傷を負ったもようだ。
A HIMARS strike hit a concentration of enemy forces at a training ground in the occupied part of the Zaporizhzhia region.https://t.co/7zXNahTIDP pic.twitter.com/1ekYWoMMNo
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) November 21, 2024
とはいえ、ロシア軍の指揮官が訓練兵らをウクライナ軍のロケット弾にさらし続けているために、こうした攻撃による累計の死者はぞっとするほどの数に達している。ウクライナ軍の砲兵部隊は今年2月以来、ザポリージャ州と東部ドネツク州での計8回の攻撃で、ロシア兵を数百人殺害したとみられる。
訓練兵らを狙った一連の攻撃は、ウクライナ軍がかつて南部ヘルソン市郊外のチョルノバイウカで、ロシア軍の指揮官や幕僚を狙って行った攻撃作戦を思い起こさせる。ヘルソン市は全面侵攻の初期にロシア軍に占領され、その後2022年秋にウクライナ軍による迅速な反攻で解放された。