アパレル小売にとっては厳しい時代だ。そのため、全盛期のときのような飛ぶ鳥落とす勢いではないかもしれないが、同社の業績は新経営陣が傘下4つの中核ブランドすべてに新たな推進力を注入したことを示唆している。
リチャード・ディクソンは2023年8月にギャップの社長兼CEOに就任したが、その前は米玩具大手マテルを率いていた。マテルの着せ替え人形「バービー人形」の実写版映画『バービー』が公開されて間もない頃で、その余韻冷めやらぬ中でディクソンは就任した。以降、ギャップは商品やブランドポジショニング、マーケティングの改善に注力してきた。
加えて、同社は改装やリフォームを進めて店舗の改善にも取り組んでいる。
「年末商戦は好調なスタートを切っており、第4四半期もすばらしい業績となるよう引き続き注力している」とディクソンは決算報告書で述べた。「今年これまでの業績から、通年の売上高や粗利益率、営業利益の見通しを引き上げる」とした。
ディクソンは決算説明会で「トレンドに合った商品、意図、文化的に関連性のあるメッセージの発信」によって、社名を冠しているブランドのギャップが「再び動き出している」とアナリストに語った。
決算内容
第3四半期の純利益は2億7400万ドル(約424億円)と前年同期を上回り、アナリストの予想とほぼ一致した。前年同期に2億5000万ドル(約387億円)だった営業利益は3億5500万ドル(約550億円)に増加。総売上高は2%増の38億3000万ドル(約5928億円)で、アナリスト予想の38億1000万ドルをわずかに上回った。これらの数字は大成功というわけではないが、自由裁量のアパレル支出を取り巻く厳しい状況を考えると、着実な進展と言える。