他と一線を画すオッロライの移住誘致政策
村に新たな息吹を吹き込み、多彩な外国人移住者を誘致するため、オッロライでは3段階のプログラムを提供している。最も注目を集めているのが「1ユーロ住宅」だ。大々的な改修が必要な古い物件を、3年以内に修繕に着手することを条件に、1ユーロで移住希望者に売却する。改修にかかる費用は1物件あたり総額2万1000~5万2800ドル(約320万~820万円)相当と見積もられており、物件によっては入居保証金も必要となる。
リフォームの手間を省きたい外国人移住者には、すぐに入居できる物件も用意されている。ただし、価格は10万ユーロ(約1620万円)を超える場合もある。
また、サルデーニャ島に滞在しながらリモートで働きたいデジタルノマド向けに、少数限定で無料滞在できる住まいもある。滞在中は、アート作品の制作やワークショップの開催、各種プロジェクトへの参加など、地域社会への貢献が求められる。
オッロライの移住誘致政策が際立っている点は、新規移住者に対する支援の手厚さだ。よくある誘致計画とは一線を画し、オッロライでは物件の内見の手配からリフォームのアドバイス、官僚主義的で面倒なことで悪名高いイタリアの行政手続きのサポートまで、専任チームが移住を全面的に支援してくれる。
移住する前に知っておくべきこと
サルデーニャ島の美しい村に1ユーロで家を所有するというアイデアは夢のように聞こえるが、経済的な側面について検討するのを忘れてはならない。リフォーム費用に弁護士費用、税金など、必要経費はたちまち膨れ上がる可能性がある。報道によると、イタリアの「1ユーロ住宅」の修繕にかかる費用は、約3万5000ドル(約540万円)程度から44万6000ドル(約6890万円)にもなることがある。
もっとも、米ネット不動産仲介大手レッドフィンの最新レポートによれば、米国の住宅価格の中央値は44万ドル(約6800万円)であり、イタリアに移住したほうが米国に暮らし続けるよりも安上がりかもしれない。しかもこの投資には、米国を脱出してイタリアで「甘い生活」を満喫できるという、金銭には換算できない貴重なメリットもついてくる。
(forbes.com 原文)