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2024.11.23 12:00

『ポケモンGO』が収集データで「地理空間モデル」を訓練、軍事利用を心配する声も

(Photo by PG/Bauer-Griffin/GC Images)

世界中にいる人気ゲーム『ポケモンGO』のプレイヤーたちは、知らないうちに物理世界をマッピングするための人工知能(AI)モデルのトレーニングを助けている可能性がある。

ポケモンGOの開発元である米ナイアンティックは、今月初めのブログの投稿で、ゲーム内で収集された3Dデータを活用して「大規模な地理空間モデル」を構築していることを明らかにした。

ChatGPTの基盤となる大規模言語モデル(LLM)が、文章内の次に来る単語を正確に予測できるのと同様に、大規模地理空間モデル(Large Geospatial Model:LGM)は、ゲーム内の建物やその他の物理的オブジェクトがどのように見えるべきかを推測できるようにしている。

「人間は、これまでに見た無数の似た場面に基づいて、空間の詳細を補うための『空間的理解力』を持っている」と、ナイアンティックのサイエンティストであるエリック・ブラッヒマンらはブログに書いている。同社のLGMは、ポケモンGOなどのゲームに組み込まれた視覚測位システム(VPS)を利用して学習を行っている。

ナイアンティックによれば、このシステムはスマートフォンのカメラで撮影された1枚の画像から、ユーザーの位置と向きをセンチメートル単位の精度で特定できるという。ポケモンGOにおいては、「ポケモンプレイグラウンド」のような機能にVPSが利用されており、ユーザーが特定の場所にヴァーチャルのポケモンを配置して他のプレイヤーが見つけられるようにしている。

ナイアンティックは、この仕組みを通じて膨大な3Dデータを収集しており、「現在、世界中で1000万カ所のスキャンされた場所があり、そのうちの100万カ所以上がVPSサービスで利用可能な状態になっている」と述べている。

同社は、このデータを利用して、マッピングされた建物の欠けた部分を効果的に補完できると説明し、その例として、現状では正面入り口のデータしか取得できていない建物の画像を挙げている。「LGMは全体の一部のデータしかない場合であっても、これまでに見た類似した建物のビジュアルに基づいて、その建物の裏側がどのようになっているかを推測できる」と、ナイアンティックは説明している。

軍事目的に利用される可能性

同社はまた、LGMのデータが、ゲーム内のみならず空間設計や物流などの幅広い用途に利用できると主張している。しかし、一部の批評家は、ポケモンGOのプレイヤーが、知らないうちに危険な何かに加担してしまう可能性を指摘した。その1つはデータが軍事目的で利用される可能性だ。

ロンドンに拠点を置くシンクタンクのInstitute for Strategic Dialogue(戦略対話研究所)でアナリストを務めるエリース・トーマスは、11月17日のX(旧ツイッター)の投稿で、「ポケモンGOは、信じられないほど2020年代風にコード化されており、将来的に自動化された兵器システムが人を殺す際に使用されることが、ほとんど避けがたいAIシステムの構築に使用されている」と主張した。この投稿については、インターネットカルチャーに関するニュースレターのGarbage Dayが最初に報じていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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