スマホのeSIMカードを販売するアイルランドのHolafly(オラフライ)が行った調査によると、中東の都市はスマホの通信速度ランキングの上位1〜4位を占め、首位はカタールのドーハだった。この調査では、世界中の数百万人のユーザーからデータを取得している通信速度テスト「Speedtest by Ookla」のデータを用いて、今年8月に95都市で容量1ギガバイトの地図をダウンロードするのにかかる時間を調べた。
その結果、ドーハでは1秒間に受信可能なデータ量は354.5Mbitで、地図のダウンロードにかかった時間は2.9秒だった。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイではドーハよりほんのわずかにダウンロード時間が長かったが、ほぼ同じ2.9秒とされた。続いてUAEの首都アブダビが3.1秒で3位、サウジアラビアの首都リヤドが3.7秒で4位だった。
5〜10位はデンマークの首都コペンハーゲン(4秒)、ポルトガルのポルト(4.2秒)、ノルウェーの首都オスロ(4.3秒)、ポルトガルの首都リスボン(4.7秒)、中国・上海(4.8秒)、同じく中国・北京(5.1秒)の順だった。
これらの都市の通信速度は、下位の都市とは比べ物にならないことも明らかになった。通信速度が最も遅かったのはキューバの首都ハバナで、ダウンロードの所要時間は229.1秒、つまり3分半以上だった。そしてボリビアの首都ラパスが105.9秒で2番目に遅かった。
調査結果は、世界の都市の通信速度に驚くべき格差がある事実を浮き彫りにした。
オラフライは「景観の美しい人気観光地でも、接続環境が不十分なところもあり、道案内や会話、情報の取得をモバイルインターネットに頼っている旅行者に影響を及ぼしている」と総括している。
同社のペドロ・マイケス最高マーケティング責任者(CMO)は、調査について「都市の経済発展やデジタルインフラへの投資が、旅行者の体験に直接どのような影響を与えるかを明らかにするものだ」と説明。「デジタル革新に取り組んでいる中東の都市は、世界最速のネット通信速度を提供するなど、接続性における新たな基準を打ち立てている。一方で中南米のような地域では、信頼できるネット接続という旅行者の期待に応えるために、より多くのインフラ投資が必要かもしれない」と述べた。
フォーブス・ホームが今年1月に実施した調査では、米国45都市のネット通信速度の分析でも、ばらつきのある結果が出た。
ノースカロライナ州ローリーのダウンロードの平均最低速度は最も速く、1秒間に受信可能なデータ量は347Mbitだった。一方、ワシントン州シアトルはダウンロードの平均最大速度が最も速く、1秒間に受信可能なデータ量は1616Mbitだった。
通信環境が最も悪かった都市はテキサス州エルパソで、1秒間に受信可能なデータ量は平均最低速度で92Mbit、平均最大速度では769Mbitだった。
フォーブス・ホームの調査は「インターネット接続における各都市の格差は、まさに全米でみられるデジタル接続の多様性を示している」と結論づけている。
(forbes.com 原文)