欧州

2024.11.21 17:00

ウクライナ、英国製巡航ミサイル10発でクルスク州攻撃 地下の指揮所破壊か

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ジョー・バイデン米大統領がウクライナに米国製の長射程ミサイルよるロシア領内への攻撃を認めたと17日に報じられた直後、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は「ミサイル自体が雄弁に物語ることになる」と予告していた。

それから間もないウクライナ時間19日、ウクライナ陸軍の発射機から、数百個の子弾を内蔵したクラスター弾頭型とみられるATACMS弾道ミサイル8発が、ウクライナとの国境から100kmほど離れたロシア西部ブリャンスク州カラチェフの広大な弾薬庫に向けて発射された。弾薬庫は炎に包まれた。

この未明の攻撃は、ロシア西部クルスク州とその周辺のロシア軍やその指揮・補給インフラを狙う強力な深部攻撃作戦の「のろし」に過ぎなかったようだ。

米政府に続き、英仏両政府もそれぞれ自国製弾薬をウクライナがロシア領内への攻撃に使うことを許可した。20日朝、ウクライナ空軍機が、ウクライナとの国境から40kmほどに位置するロシア西部クルスク州マリノ町の目標に対して、英国製ストームシャドー巡航ミサイルを10発撃ち込んだと伝えられる。
ウクライナ空軍が重量約1.2tのストームシャドーで狙った目標が何だったのか、現時点で正確なところは不明だ。いずれにせよ、ストームシャドー10発というのは相当な数だ。ウクライナ空軍は通常このミサイルを、低空を飛行するSu-24戦闘爆撃機2機から発射する。今回の攻撃規模は、きわめて価値の高い、おそらく要塞化された目標に対するものだったことを示唆する。

英BAEシステムズ社は、地下壕のような堅牢な構造物を破壊するために、ストームシャドー用の重量約400kgのBROACH(ブローチ)弾頭を特別に開発した。ウクライナ軍が2023年9月、ロシア占領下クリミアの乾ドックに入渠していたロシア海軍潜水艦を狙った際、攻撃手段として少なくとも1発のストームシャドーを選んだのは理由のないことではなかった。

ロシアのある軍事ブロガーによれば、攻撃されたのは指揮所だったという。クルスク州で2万人規模のウクライナ軍部隊が保持する650平方kmほどの突出部に対し、反攻作戦を行っている5万人規模のロシア・北朝鮮部隊を指揮するロシア軍将校らがいたのかもしれない。北朝鮮軍の将校がいた可能性もある。ブロガーはこの破壊的な攻撃について「無防備な者の処刑」のようだと嘆いている
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翻訳・編集=江戸伸禎

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