アクセンチュアは、世界12カ国、15業界の経営幹部2000人を対象に実施した調査をもとに、最新レポート『生成AIによる企業オペレーションの再創造』を公開した。それによると、業務をAI主導プロセスに移行させた企業は2023年の9パーセントから2024年には16パーセントと急増した(日本では17パーセントから21パーセント)。移行に成功した企業では、収益成長率が2.5倍、生産性が2.4倍に増えている。試験導入から本格実装に移行できた企業も、昨年に比べて3.3倍に増えた。
こうした企業を「リインベンション・レディー」(再創造の準備が整っている)とアクセンチュアは呼んでいるが、その割合は世界でもまだ低い。昔ながらのオペレーションから脱却できない企業は、世界で64パーセント、日本では62パーセントにのぼる。データ資産が生成AIに対応できない、独自データを使用しているなど、おもにデータ基盤の整備が遅れているためだ。また、生成AIを扱える人材の不足もある。経営幹部の78パーセントは、技術の進歩が速すぎて自社の人材育成が追いつかないと答えている。
アクセンチュア オペレーションズのグループ最高経営責任者、アルンダティ・チャクラボルティ氏は、生成AIは単なるテクノロジーではなく、ビジネスの概念を根底から覆す原動力として企業全体に影響を与えるものとし、そのうえでリインベンション・レディーに必要なものとして、強力なデジタルコア、データ戦略、ビジネスの運用方法を変革するための明確なロードマップだと話している。さらに、AIを活用した業務には、人材、先端的ビジネスプロセスの実践、ビジネスとテクノロジーの部門間の効率的な連携といった首尾一貫した視点が不可欠だとも指摘している。
強力なデジタルコアとは、つまり企業の基盤を高度にIT化するということだ。AIがバリバリ働けるよう、データ基盤の整備はもちろん、業務の流れを可視化して整理し、一貫性を持たせ、デジタル化することも必要となる。業務のアルゴリズム化と言えるかもしれない。
心配なのは、書類のデジタル化すらおぼつかない日本の中小企業だ。リインベンション・レディーなんて雲の上の話に聞こえるに違いない。しかし、規模が小さいほど身軽に素早く変革できる可能性もある。まず必要なのは、「ビジネスの概念を根底から覆す」覚悟だろう。
プレスリリース