それによって、世代交代そのものが想定よりも早くなるんです。今の日本の課題は経営者の高年齢化。ずっと同じ人が経営者をやってるから、会社が変われないんですよね。ですが、後継者が表舞台に出ることによって世代交代が早くなるということが私の周りでは起こり始めています。
また採用だけではなく、取引先も80歳の社長がずっとやっている会社より、あと何年もこの会社と付き合えると思うと発注につながる。若い代表が表舞台に立つ方が、会社が得をすると先代が気づき始めたら、合理性も生まれます。
藤田:アトツギ甲子園の対象がU39になっているのは、その辺りまでに変わっていこうよというメッセージなのですね。
教えて瀬戸内VC 地方で頑張っているアトツギはどこにいる?
山野:「地方の頑張ってるアトツギはどこにいるのか」とお聞きしたいです。経営者になると色々なメディアが取材しているので探しやすいんです。ですが、アトツギは社会的なフラグが立ってない人たちなのでわからない。いま頑張っていてまだ結果を出していない、メディアも取材してないような人たちって見つけづらいんです。
山田:「同窓会」です。同年代で開く同窓会のとき、「家業に戻ったんだよね」という話をよく聞きます。その時に「俺も帰ったんだよね」と言う人たちが固まって喋っているので、そこに、アトツギの話が1つあるだけで変わるかもなと思いました。全国にそれをスポンサードしていくとか。
藤田:「起業部」です。学生の中に、今頑張ってる方が結構いるなと思っています。起業部の運営に携わってるんですけど「実は家業があります」と言う人が何人かいます。なので、アトツギ部とか大学で作ったら意外にいいんじゃないかな。
山田:あとは、いろんなコミュニティや場所にアトツギに関わる人が行けば出てくる気がします。400万社ぐらい中小企業があると考えると、その辺で会う人も結構アトツギなわけじゃないですか。藤田さんとイベント行った時に「VCやってるんですよ」だと話しかけてくれない人が、「アトツギでもあるんですよ」だと声をかけてくれたりするっていうシーンを見るので、いいのではと思いますね。
藤田:今回振り返っていかがでしたか。
山野:私は、アトツギの方々の「会社を預かっている」という感覚が好きです。少し前までスクラップアンドビルドで、うまくいかなかったものを更地にして作り直せと言われていました。今は持続可能性を考えて、アトツギの持っている預かっていると言う感覚が王道なものになる気がしています。スタートアップとアトツギと言う、始める人と引き継ぐ人に注目をしてメディアを作っているセトフラに深く共感しているんです。
最終的には、スタートアップやアトツギという枠組みがなくなる世界を目指しています。カテゴライズしなくても頑張っている人が報われる、そんなカテゴリーのない世界を目指したいです。
アトツギは、単なる会社の後継者ではない。会社を預かり、次の世代に繋いでいく時まで新たな挑戦とアップデートを続けていく生き様そのものがアトツギと言える。単に中小企業の後継者問題と対峙しているわけではなく、アトツギベンチャーを新たなビジネスカルチャーとして後押しする活動の背景には、カテゴリーに捉われずに、実際の取り組みや成果で評価される世界の実現への思いがあるのだろう。
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