スタートアップ

2024.11.21 15:15

なぜ4年なのか? スタートアップの株式ベスティングの起源を解き明かす

並行して、プライベートマーケットで調達できる資金も大幅に増加しました。その結果、スタートアップは上場を急がずとも、未上場のまま成長に必要な資金を調達できるようになりました。また、プライベートマーケットへの資金流入が増えたことで、VCファンドの規模が拡大し、上場市場の投資家もプライベートマーケットの資金調達ラウンドに参加するようになりました。これにより、上場市場とプライベートマーケットの境界線も曖昧になってきています。

日本の場合、米国と比較するとそこまでは厳しくはないため、今でもスタートアップが比較的早期に上場することが可能です。とはいえ、米国同様にVCファンドの規模が拡大し、プライベートマーケットへの投資が増加しているため、日本でもイグジットまでの期間が長くなりつつあります。一方で、米国と違い、日本のスタートアップではこれまで社員に株式を付与することがあまり一般的ではありませんでした。しかし、最近になって日本のスタートアップでも株式インセンティブがようやく普及し始め、ベスティング期間について再考する必要が出てきています。会社を十分な規模まで成長させるのに7~12年かかるとして、標準的な4年のベスティング期間は果たして適切なのか、改めて考えなければなりません。

また、米国ではスタートアップの上場が遅れる傾向が進む中、セカンダリーマーケットが活性化し、アーリーステージの投資家や社員がレイターステージの投資家に持分を売却できるようになりました。その結果、株主構成の変動は大きくなり、ステークホルダーはIPO前でも株式を現金化することが可能になっています。日本でも、株式の流動性に関して同様の傾向が見られます。国内のセカンダリーマーケットの重要性はますます高まっており、今後大きな成長が期待できるでしょう。

4年のベスティング期間は、数十年前に形成された業界の常識に基づいたものです。しかし、それ以来、業界の状況は変わり、スタートアップがIPOなどの流動性イベントに到達するまでの期間も長くなっています。私たちは今、ベスティング期間や、セカンダリー取引全般に対する認識をアップデートするべき時期に来ているのかもしれません。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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