過去3年間におけるバンク・オブ・アメリカ株の年間リターンは、S&P500よりもバラつきが大きかった。バンク・オブ・アメリカの年間リターンは、2021年に50%、2022年にマイナス24%、2023年に5%だった。
最近、米国の銀行株が好調である要因の1つとして、ドナルド・トランプが2期目の大統領に選出された米大統領選挙がある。投資家たちは、トランプ政権が規制緩和を重視することで、バイデン政権に比べて銀行監督へのアプローチが甘くなる可能性に賭けている。これは、取引量の増加、融資活動の活発化、そして収益性を高める可能性のあるコンプライアンス・コストの低下を通じて、銀行の収益拡大に貢献する可能性がある。トランプは減税にも賛成しており、これもバンク・オブ・アメリカのような銀行の収益に貢献するだろう。一般的に自由市場を支持する共和党は、上院下院の両院で勝利した。
直近の決算動向
バンク・オブ・アメリカが先日発表した2024年度第3四半期の決算は、トレーディング収益、資産運用および投資銀行手数料などが増加した一方で、純金利収益は減少し、全体での収益は前年同期と比べほぼ横ばいの253億ドル(約3兆9291億円)となった。これは市場予想を上回る水準だ。一方、貸倒引当金繰入額の増加などのマイナス要因により、純利益は前年同期比12%減の69億ドル(約1兆716億円)となった。正味受取利息は、直近の金利上昇による影響を受けている。金利の上昇は、預金に対する支払金利額を増加させ、顧客による借入も抑制される可能性があるからだ。
しかし、アドバイザリーおよびトレーディング業務は好調であった。債券トレーディングの収益は、通貨高や金利関連のトレード収益の増加などに牽引され、前年同期比8%増となった。株式トレーディングの収益についても、現物およびデリバティブ取引量の増加により同18%増だった。グローバル・ウェルス&インベストメント・マネジメント事業の収益も好調で、株価の上昇や新規顧客の増加などに牽引され、前年同期比8%増の58億ドル(約9000億円)となった。
今後の見通しと目標株価
今後、事態は好転する可能性がある。9月から始まった米連邦準備制度理事会(FRB)による金利の引き下げもあり、第4四半期決算における純金利収入は改善する可能性がある。また、第3四半期の期中に少しずつ純金利収入が増加していたことは、潜在的な好転もありうることを示している。さらに、金利の低下と選挙後の政治的な要因により、投資銀行業務が活発化し、債券や株式の発行が増加し、M&A関連の業務も増加する可能性がある。私たちはバンク・オブ・アメリカ株の目標株価を46ドルとしており、これは米国時間11月19日現在の株価と同水準である。
(forbes.com原文)