北米

2024.11.20 14:00

米議会、「トランスジェンダー議員」のトイレ問題で激しい議論に

サラ・マクブライド議員(om Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

トランスジェンダーの議員が、どちらの性別のトイレを使うべきかという議論が米議会で勃発した。これは、11月5日の大統領選と同時に行われたデラウェア州の下院選で、民主党の新人でトランス女性のサラ・マクブライド議員が当選したことを受けてのものだ。

マクブライド議員は、米国史上初のトランスであることを公表した連邦議員として注目されており、一部の共和党議員はこれに反発している。共和党のナンシー・メース下院議員は18日、議会議事堂で下院の議員や職員らが「出生時に割り当てられた性と異なる性別用のトイレ」を使うことを禁じる決議案を提出した。

メース議員はこの決議案をマクブライド議員の当選を受けて作成したと語り、「私は、どんな男性であっても、女性用のトイレや更衣室に立ち入るのを完全に阻止するつもりだ」と述べた。彼女は、自身が性的暴行の被害者であることを引き合いに出してそう主張した。

マクブライド議員はこの決議案が「極右勢力による露骨な妨害工作だ」と非難し、「彼らは米国民が直面している問題に対して何の具体的な解決策も持っていないことを隠そうとしているだけだ」と述べた。そして、「すべての米国民は毎日、自分とは異なる人生を歩んできた人々と尊重し合いながら働いている。議会の議員たちもそのような優しさを示してほしい」と付け加えている。

共和党の保守強硬派のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、マクブライド議員が「生物学的には男性だ」と述べて、この決議案が「まだ十分に厳格ではない」と語った。同議員はさらに、マクブライド議員に男性用トイレの使用を強制するための「より拘束力のある」措置が必要だと主張した。

共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、「下院はすべての人々のニーズに対応する」と述べた一方で、「こんな馬鹿げた議論には加わらない」と語り、性自認に関する個人的な意見について質問されても回答を避けた。また、「これは議会が扱ったことのない問題だ」と付け加えた。

民主党議員は決議案に猛反発

民主党の議員らはこの決議案に激しく反発している。ベッカ・バリント下院議員は「これは残酷さそのものだ」と述べ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は「明らかないじめだ」と批判した。ジョー・モレル下院議員は「マクブライド議員は女性だ。彼女は女性用トイレを使うべきだ」と主張した。

メイス議員は、来年年1月3日に始まる第119議会の規則にこの提案を組み込むか、個別に採択させることを目指している。もし否決された場合、次の議会に再提出すると彼女は述べている。

現在34歳のマクブライド議員は、2021年からデラウェア州の上院議員を務めており、それ以前はLGBTQの擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の報道官を務めていた。

彼女は、ワシントンD.C.のアメリカン大学に在学中だった2011年に、学生新聞でトランスジェンダーであることを公表した。その数カ月後にホワイトハウスでインターンシップを開始した彼女は、トランスの女性であることを公表した初めてのホワイトハウス職員となった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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