しかしこれは、その会社の企業文化とは言い切れない。役職別の考えを分析すると、一般社員、リーダー層(主任、係長、課長)、マネージャー層(部長、本部長)では、「男らしさ」という観念がネガティブな影響をもたらすと考える人が3割前後と多いことがわかる。ポジティブな影響があるという人は、一般社員、リーダー層では20パーセント前後、マネージャー層で約30パーセントと、いずれもネガティブな影響を下回る。
ネガティブな影響はマネージャー層で大幅に増えるものの、ポジティブな影響は役職が上がるごとに微増する。そして驚くべきことに、経営層になると、ネガティブが20パーセント未満に激減し、ポジティブが約40パーセントに激増するという大逆転が起きる。「男は男らしく」と育てられ、がむしゃらに働いて成功した人の固定観念の表れか、とも邪推してしまう。逆に、今のマネージャー層が経営層になれば、世の中がずいぶん変わるだろうなと期待が持てる要素でもある。
調査では、こうした圧力の解消に必要なものを尋ねているが、それは複数選択で85パーセントの人が選んだ「多様な生き方が尊重される文化の醸成」に集約される。それ以下は、職場の意識改革、学校教育の改善、ロールモデルの創出、女性の社会進出、親世代の理解促進などは、どれも多様な文化醸成のための手段であり、全体として古い固定観念からの脱却を求めている。
男らしくありたいと思うのは自由だが、その私的価値観を他人に押し付けるのは、よかれと思ってのことでも、相手に深刻なダメージを与えかねない。「男らしく」頑張ることが、必ずしも会社のためにならないことを認識すべきだろう。
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