特に山奥にあるダムの場合、地震が発生したときに損傷の確認をすべく、これまでは人の目に頼ってきた。ただ、現地へ向かう途中で落石や陥没で向かえない可能性があり、二次被害のリスクもあるため、迅速な対応は難しいとされてきた。
そうした中でKDDIは、葛野川ダムにおいて自律飛行型ドローンを活用してダムを遠隔点検する実証実験を行い成功している。
葛野川ダムは、通信環境が悪く新規の通信回線を引き込むことも困難なため、「Satellite Mobile Link」を設置することで周囲2kmの範囲の通信環境を確保。そのうえで、自律飛行型ドローンをダム堤体から半径約2km圏内を飛ばすことで、遠隔地からリアルタイムで状況を把握することが可能となった。これにより、ダムにおける点検業務の省人化・効率化が進むとともに、地震などの災害が発生した際に現地へ向かうリスクを低減できるとしている。
ドローンは、Satellite Mobile Linkによる4G LTE通信回線によるインターネット接続により、ドローンを操作することなく映像や写真をクラウド上に保存される。
東京電力では水力発電事業において、こうしたDXを取り込んだ業務の高度化を検討しており、今回の出向レスによる点検活動を2025年度以降の早期に実現したいと述べている。また、将来的には、3Dモデルと撮影画像とを組み合わせて、人による目視点検からの脱却を目指しているという。
出典:KDDI「Starlinkを活用した自律飛行型ドローンによる葛野川ダムでの遠隔点検実証を実施」/東京電力リニューアブルパワー「ドローンの遠隔操作によるダムの臨時点検の実証について」より