地域の特色を活かしたアートフェアや芸術祭が各地で増える中、ACKはリピーターを集め、現代アートの枠組みを超えて京都の秋の風物詩にもなりつつある。4回目となる今年は国内外から69ギャラリーが国立京都国際会館に集結。数字は集計中としながらも「昨年の2万人を上回る来場者数、強い売上を作れた」と、ACKプログラムディレクター山下有佳子は閉幕直後の手応えを語る。
なぜ、ACKが存在感を高めているのか。現地で出会ったコレクター、ギャラリストの声も参考にこのフェアを振り返りたい。
「ACKは外せない」と言わせるワケ
10月31日のプレビュー日、メイン会場となる国立京都国際会館は国内外から訪れたコレクターで華やかな熱気に溢れていた。アートフェアでは一般開催の前にプレビューを実施するが、そこでは一般会期よりも活発な商談が行われる。コレクターは足早に各ブースを巡りお目当てのギャラリーや作品をチェックし、ギャラリストや作家とのコミュニケーションを取っていく。各地のアート関係者、京都のVIPなど顔見知りが多数集まる場でもあり、みな立ち止まっては雑談して、情報交換を楽しんでいた。
「やっぱりACKは楽しい。京都全体で楽しい」そう興奮気味に話すのは、コレクション歴10年目、東京在住のコレクターだ。建築家で家族の時間も大切にする彼は、多忙な日々のなか、貴重な週末の時間をやりくりしてアートフェアやギャラリーに足を運ぶ。なかでも「ACKは外せない」という。東京在住の外国人コレクター、コレクション歴6年になる会社員コレクターの二人は、過去4回全てのACKに来場しているという。
国立京都国際会館と市内各所の連携プログラムをどう回遊するか。みな手慣れた様子でスケジュールを組み、効率よく巡っていた。
心くすぐる、コラボレーションの交差
ACKは、国内ギャラリーが海外ギャラリーをゲストに迎え、1つのブースをシェアして出展する「ギャラリーコラボレーション」を特徴にしている。今年は国内27ギャラリーが、海外29ギャラリーをゲストに迎えた。その中で、コレクターが「ACKらしい、貴重なコラボレーション」と話題にしていたのが、東京のMAHO KUBOTA GALLERYとシンガポールのSTPI – Creative Workshop & Galleryの共同ブースだ。両ギャラリーとも今回がACK初参加。STPIはス・ドホの世界初公開となる新作のエッチングを持ち込み、これにMAHO KUBOTA GALLERYがAtsushi Kagaの作品を組み合わせて展示をした。いずれも海外のアートフェアで注目を集める国際的アーティストで、通常は作家単独でのプレゼンテーションや個展が多い。経歴や作風も全く異なる注目作家同士という取り合わせ、ス・ドホのエッチングという作品のエントリーしやすさ、京都に縁があるAtsushi Kagaの作品など、組み合わせの妙が際立っていた。