このような人物像を想像したあなたは、世間一般の通念どおりの考えをもっている。社会常識に織り込まれた、2つの単語の言外の意味は正反対だ。独身女性は不幸で孤独で、なんとか結婚したいと思っている。一方、独身男性は鷹揚でカリスマ的な魅力にあふれ、何の心配もなく世渡りをしている。
ところが、2024年10月に学術誌のSocial Psychological and Personality Scienceに掲載された論文は、独身男性と独身女性に関する私たちの先入観に異を唱える内容だ。それどころか、論文の筆頭著者であるエレイン・ホーンとジェフ・マクドナルドは、前述のステレオタイプを完全にひっくり返したと言っても過言ではない。
ホーンとマクドナルドによれば、独身女性は独身男性よりもずっと幸福だ。その理由を、彼らの研究結果から紹介しよう。
1. 独身女性の方が、関係ステータスへの満足度が高い
独身女性は、独身男性と比べて、自身の関係ステータスへの満足度が有意に高かった。つまり、女性は男性と比べて、独身・未婚である状態に、はるかに満足しているということだ。ホーンとマクドナルドは、ギルモア・ヘルスニュースによるインタビューの中で、この結果は、時代遅れな社会規範が崩壊しつつあることに起因するのではないかと語った。
「これまでの女性たちは、『売れ残り』と思われないように相手を見つけて身を固めろという、多大な社会的プレッシャーを受けていました」と、2人は説明する。「このようなプレッシャーが、独身女性の不幸の主要因だった可能性があります」
そして、彼らはこう続けた。「時代とともに、こうした社会規範は緩み、独身女性がますます自由に自分の人生を謳歌できるようになったことを、データは示唆しています」
一方、一部の社会規範は緩和されたものの、ジェンダーロールに関する一定の期待はまだ社会にはびこっている、とホーンとマクドナルドは指摘する。具体的には、家事労働のジェンダーに基づく分業、すなわち、「女性は、家事や子育ての主な担い手として、ほとんど助けを借りずにこれらをこなし、そこに充実感を得るべきだ」という期待があるという。
ホーンとマクドナルドは、こうした社会規範のせいで、「安定した男女関係から、男性が利益を得る一方で、女性はコストを負う結果がもたらされる」側面は否定できないと論じる。そして、これもまた、女性が男性よりも、「独身であること」に高い満足度を示す理由かもしれないと指摘する。