ポニー・エーアイは11月14日、計画中の米国での新規株式公開(IPO)で自社の企業価値を最大約45億ドル(約6945億円)と評価されることを目指していると明らかにしたが、この評価額は2022年の資金調達時の85億ドルを大幅に下回ることになる。フォーブスは、ペンの保有資産を目論見書に記載された評価額に基づき、最大7億8000万ドル(約1200億円)と推定している。
ポニー・エーアイは、この記事へのコメント要請に返答していない。
アナリストによれば、ロボタクシーサービス分野は、商業化が期待よりも遅れているため、投資家の熱が冷めているという。「大規模な商業化の兆候は見られておらず、規制や関連インフラ投資の課題も解決されていない」とシンガポール拠点のDZT Researchの調査責任者のコー・ヤンは指摘した。
ポニー・エーアイは、中国の北京、上海、広州、深センの4都市で完全自動運転タクシーの運行についての当局の承認を受けており、アプリを通じて呼び出せるロボタクシー250台以上を運行しているが、同社のサービスはまだ試験段階とされている。
2024年の9月末までの、同社の収益は前年同期比85.5%増の3950万ドルに達したが、純損失は、前年同期の1億460万ドルからは10.2%減少したものの9390万ドルを記録した。ポニー・エーアイの成長の主な要因は新設のロボトラック部門で、この部門は中国全土で長距離輸送を担う190台の自動運転トラックを運行していると目論見書に記載されている。
「投資家たちは当初、ポニー・エーアイのロボタクシー部門に期待を寄せていたが、成長が鈍化し、同社がロボトラックに注力しているため、売上への貢献はむしろ減少している」と香港のエバーブライト・セキュリティ・インターナショナルのストラテジストのケニー・エンは述べている。
「今後の2~3年でロボタクシーの商業化が加速するとは考えていない」とエンは述べており、この分野には、中国の検索大手バイドゥを含む競合他社が参入していると指摘した。バイドゥは、北京や武漢を含む都市でアポロ・ゴーと呼ばれるロボタクシーサービスを展開中だ。
ペンは2011年から2016年にかけてバイドゥの自動運転部門を指揮した後の2016年に独立し、最初はシリコンバレーでポニー・エーアイを共同創業し、その後中国に拡大した。
同社の投資家には、上海のベンチャーキャピタルの5Yキャピタル(五源資本)やIDG、トヨタなどが含まれる。2023年にトヨタは1億3900万ドル(約215億円)を投じてポニー・エーアイと共同で自動運転車両を生産する契約を結んでいた。目論見書によるとポニー・エーアイは、広州汽車集団(GAC)や上海汽車集団(SAIC)らとも共同でロボタクシー車両を生産している。
(forbes.com 原文)