奇しくも現在、クルスク州で戦っているウクライナ軍部隊には、1年半ほど前にザポリージャ州でロシア軍の地雷原にはまった精鋭の第47独立機械化旅団も含まれている。クルスク州で次々に地雷で爆破されるロシア軍車両の光景は、戦闘で疲弊した第47機械化旅団員の目には、自分たちが昨年被った大損害の遅ればせながらの復讐に映っているかもしれない。
ロシア軍はザポリージャ州でのウクライナ軍の悲惨な経験にまったく学んでいないようだが、それはなぜなのかは問う価値がある。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、ジャック・ワトリングとニック・レイノルズは昨年9月の論考で、ウクライナ軍の南部反攻がなかなか進まない要因のひとつとして「綿密な地雷偵察」ができないことを挙げていた。そのため、ウクライナ軍は計画する攻撃に先立って、新たに敷設された地雷を発見するのが難しかった。
ロシア軍もまた、攻撃予定ルートに散在する地雷を見つけるのに苦慮しているのかもしれない。しかし、ウクライナ軍の地雷による最近の甚大な損害には、もっと不吉な別の理由も考えられる。ロシア軍の偵察隊が地雷の位置を特定していても、指揮官が正確な情報を突撃部隊に伝えていない、というものだ。
第810海軍歩兵旅団の不運な部隊が7日、ゼリョーヌイ・シュリャフ近くで突撃に失敗し、破滅的な損害を出す結果になったのは、それが原因だったと伝えられる。
ロシアの人気軍事ブロガーのロマノフは、のちにロシア軍の車両が爆破されることになるある道路について「ロシア側の支配下に入ったという虚偽の情報」が現地の第810海軍歩兵旅団司令部からロシア軍参謀本部に報告されていたと説明している。
「この情報を受け取った参謀本部は当然、(ゼリョーヌイ・シュリャフの北東にあるポグレブキ)村を強襲させる命令を出した。攻撃前に道路から地雷を除去することなど誰も考えもしなかった」とロマノフは続けている。
(forbes.com 原文)