米国研究製薬工業協会(PhRMA)はトランプの指名発表後に声明を発表したが、その中でケネディの名前には言及せず、水面下でのロビー活動の準備を整えている様子が伺える。
PhRMAは、ファイザー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、メルク・アンド・カンパニー、イーライリリー・アンド・カンパニーなど、世界の主要な製薬会社を代表する団体だ。これらの企業の中には、トランプがケネディの指名を発表してから15日の取引終了までの間に、時価総額で数十億ドル(数千億円)を失った企業もある。
米上院でケネディの承認を阻止するには、たった3票の反対で十分な可能性がある。実際にそうなるかどうかは、民主党がペンシルベニア州のボブ・ケイシー議員の議席を維持できるかどうかにかかっている(現在、上院選挙結果を再集計中)、共和党がリードしてこの議席を奪取すれば、上院での共和党の議席数は100議席中53議席となる。
ケネディが上院の民主党から大きな支持を得る見込みは低いが、一方PhRMAや医療団体と関係のある複数の共和党議員がケネディの承認を阻止する可能性がある。ケネディは長年にわたり、ワクチンやその他の米国承認薬の危険性について、科学的に否定された理論を推し進めてきたからだ。
PhRMAは、アイオワ州のチャック・グラスリー上院議員など、ワシントンで影響力のある共和党議員との密接なつながりで知られている。91歳のグラスリー議員は、若い頃に上院財政委員会の委員長を務めるなど、影響力のある保健関連委員会で高位の役職を歴任してきた。ケネディは上院財政委員会での公聴会に臨むことになる。
またPhRMAの長年の会長兼最高経営責任者であるスティーブン・J・ユーブルや他のPhRMAスタッフは、グラスリー議員およびメディケア(高齢者向け医療保険制度)やメディケイド(低所得者向け医療保険制度)の資金提供を扱う上院財政委員会と長年の関係を持っている。