欧州

2024.11.17 09:00

ロシア軍、ウクライナ北東部クプヤンシクに忍び寄る 兵士が俄然「やる気」に

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彼らは不意に現れたようだ。ロシア軍の装甲車両数両が13日、ウクライナ北東部ハルキウ州クプヤンシクに幹線道路を南下して侵入してきた。クプヤンシクは、2022年2月の全面戦争開始前にはおよそ2万2600人が暮らしていた前線の都市だ。

ロシア軍が小規模な突撃グループで繰り返し攻撃してくるのは、ウクライナ軍にとって想定外のことではない。ロシアの起こした全面戦争が4年目に入ろうとするなか、そうした戦術はロシア軍の常套になっている。

ただ、ロシア軍がここへきてクプヤンシクで車両で突撃してくることは、現地のウクライナ軍は想定していなかったようだ。クプヤンシクは、この戦争で現在の主戦場になっている2つの地域、ロシア西部クルスク州のウクライナ側突出部とウクライナ東部ドネツク州の要塞都市ポクロウシク方面から、それぞれ150kmほど離れている。

そのため、ロシア軍の車両がクプヤンシク北郊に出現したのは、市を守るウクライナ軍第114独立領土防衛旅団や近傍の部隊にとって驚きだった。ロシア軍の車両は自軍の陣地から数km移動してクプヤンシクに到達したとみられる。
ウクライナ側は車両をドローン(無人機)で仕留めた。だが、守備隊はあまり安心していないだろう。

クプヤンシク方面で従軍しているウクライナ軍人のユーリー・ホルシキーは、ロシア軍の車両が市内に侵入したことに関して「難しい問題に簡単な答えはない」としつつ、過去数カ月を振り返り、この方面で両軍のパワーバランスが徐々に変わってきたことを感じ取っている。

ホルシキーの見るところ、ウクライナ軍は7月ごろまではロシア軍にしっかり反撃できていた。ロシア側は車両を用いた攻撃を断念し、その後10人くらいずつのグループで突撃してくるようになったが、ウクライナ側はそれにも効果的に対応できていたという。

だが、夏から秋にかけて状況は変わった。「この数カ月でこの方面は混沌としてきた。堅固な防御線がなく、前線はほころび、ロシア兵が1〜2人ずつ後方深くに侵入してくる」とホルシキーは書いている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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