欧州

2024.11.17 09:00

ロシア軍、ウクライナ北東部クプヤンシクに忍び寄る 兵士が俄然「やる気」に

ウクライナ軍は疲弊し、1300km近くにおよぶ戦線で薄く引き伸ばされてもいる。とはいえ、ロシア側が勢いづいている理由はそれだけではない。ロシア軍の歩兵はもはや、大半の時間を塹壕内で過ごし、ウクライナ軍のドローンが降りかかってくるのを待っているだけではない。

クプヤンシクの北に陣取っているロシア軍部隊は、たとえ目的意識や士気は低かったとしても歩兵が常に十分な数いた。ホルシキーは、ロシア側は最近になって歩兵に「やる気を起こさせた」とも感じている。

何がやる気の源になっているのかは自明だろう。米国のドナルド・トランプ次期大統領がウクライナに圧力をかけ、ロシア軍に占領されている領土をロシアに明け渡す休戦に同意させることを見越して、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は自軍に対し、来年1月20日のトランプの大統領就任までにウクライナの領土をできるだけ速く、できるだけ多く奪うべく全力を尽くすよう命じている。

フィンランドのアナリスト、エミール・カステヘルミは「ロシアは政治的な目標を何よりも優先している」可能性があると指摘している。それがロシア軍による最近の積極的な攻勢行動につながっていると考えられる。

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は14日の作戦状況評価で、ロシア軍はクプヤンシク方面などから戦力をクルスク方面とポクロウシク方面に移す可能性があるため、クプヤンシクに対する大規模な攻勢をかける見通しは「依然として不透明」だとしている。

それでも、ここ数日、ロシア軍部隊がウクライナ軍に気づかれずクプヤンシクに侵入しているのは確かだ。CDSによると、ロシア兵が攻撃時にウクライナの軍服を着て偽装した事例もあったという。

ホルシキーはクプヤンシク方面のロシア軍の行動について「戦術レベルでの戦果が見え始めている。(ロシア側の)計画が最終的にどのような結果になるかはいずれわかるだろう」とつづっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事