「米国人の大半は、化石燃料が太陽光や風力よりも安価だと考えているが、それは事実ではない。今では実際、太陽光と風力のほうが安価で、その価格は下がり続けている」とスタイヤーは語る。「テクノロジーが駆動するセクターは、コストを削減し、効率を高めるという期待に応えるものだ。対して、石油や天然ガスは効率を劇的に改善する余地がない」
スタイヤーが2021年に立ち上げたガルバナイズはまた、気候関連の企業の株式を購入し、持続可能な不動産プロジェクトにも投資している。「我々は建物を購入し、それをカーボンニュートラルにして利益を上げている。我々の投資には妥協がない。すべての取り組みが高いリターンをもたらすと信じている」
まだ「未知数」のトランプの政策
他のクリーンテックの投資家たちも、トランプ政権下での不確実性に備えている。トランプは先日、環境保護庁(EPA)の長官に共和党議員のリー・ゼルディンを指名した。ゼルディンはFOXニュースのインタビューで、EPAがトランプの石油・掘削計画を支援することを示唆した。「米国のエネルギー支配を回復させ、自動車産業を再び活性化させ、人工知能(AI)の進展で世界をリードし、米国の労働者の上向きの経済的流動性を妨げる規制を撤廃する」と彼は語った。それでも、エクソンモービルのような米国最大の石油会社でさえ、トランプが米国をパリ協定から再び脱退させることを望んでいない。それは、低炭素の水素生産や炭素の回収事業に数十億ドルを投じるという既に進めている戦略が打撃を受けるからだ。
「トランプが実際に何をするつもりなのかは、誰にもわからない。ただ憶測があるだけだ」と米国のクリーンテクノロジーファンドで数十億ドル規模の資金を運用する匿名を希望する投資家は語る。「しかし、エネルギー需要、特にクリーンな電力需要がこの国で大幅に増加することは確実だ」