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2024.12.03 16:00

「はたらく」のインフラをつくる——人手不足の課題先進国・日本で、タイミーが向き合う使命

2018年のローンチから6年余りでワーカー登録数900万人以上と、大きく成長しているスキマバイトサービス「タイミー(Timee)」。このサービスを学生時代に立ち上げたのがタイミー代表取締役の小川嶺だ。「タイミー」を通じて社会課題を解決したい──そこには小川の揺るがない思いがあった。


小川が起業家を目指したのは高校3年生のときだ。大好きだった祖父の死をきっかけに、その生い立ちに興味を持ち、曽祖父が起業家だったことを初めて知った。自分にも起業家としての才覚があるかもしれないと思ったこと、そして、「人生の時間は有限」と痛切に感じたことが、大学時代の起業につながっていったという。

「『謙虚であれ』というのが祖父から教わった最後の言葉でした。いつも腰が低くて、誰でもあたたかく受け入れる心根の優しさがあり、知性にあふれ、3歳からやっている将棋を教えてくれたのも祖父だった。そんな素晴らしい人にも、平等に死はやってくる。生き急ぐように学生生活を送るようになったのは、初めて“死”を身近に感じたことが影響しています」

起業家としての原点を振り返ると、高校3年生のときに生徒会長を務めた経験も大きかった。「公約を掲げ、ビジョンを語り、組織をつくり、資金調達として学校側に予算を申請する。まさに“経営の遊び”みたいなことをしていた」という小川。文化祭の来客数を前年比1.5倍にするために、どんなコンテンツを用意すべきか、どう地域住民に周知すべきかなどを考え、実行していくプロセスが楽しかったという。

立教大学に入学してからは、学生団体の立ち上げやインターン、サークル活動など精力的に活動。学内の情報格差を軽減するための情報誌を広告媒体として立ち上げ、運用し、売り上げを出したこともあった。「いつ死ぬかわからないから」と全力で走り切ることをテーマに、大学1年生の間に、4年間分でできることを凝縮してやろうと奔走していた。

そんな小川の転機は、大学2年生のときに訪れた。慶應義塾大学が主催するビジネスコンテストで優勝し、アパレル事業Recolleを立ち上げることになったのだ。

「起業家として失格」——初めて味わった挫折

「優勝賞金として100万円をいただいて、ビジネスコンテストの運営メンバーとも一緒に事業を立ち上げようと盛り上がり、誕生したのがRecolleでした。私は男子校出身でファッションに疎いというコンプレックスがあって、大学のおしゃれな友人たちのようになりたかった。そこで、ワンクリックで自分に合った服を提案してくれるサービスなら、課題解決につながるだろうと考えたんです。でもそれは、結果として、大失敗でした」

事業を始めてすぐに、「その業界のことをどこまで愛せるか」がいかに重要なファクターかを痛感するようになった。アパレル業界の関係者に会いに行くと、周りはすぐにパリコレや服の素材の話になる。「ワンクリックでおしゃれになりたい」と思っていた小川にとって、パリコレはまったく興味をもてない世界の話だった。

「業界に対しての思いがなければ、営業もうまくいきません。なんとか勉強しようと思っても、そもそも興味がないので、ただただ苦行になってしまう。事業を始めて1年で資金調達の話をいただきましたが、人のお金を入れてでもやりたい事業なのか、10年やる覚悟をもてるかと自問し、撤退を決めたんです」

小川にとってこの撤退は、「起業家として失格」と思い詰める大きな挫折だった。ビジネスコンテストで出会った優秀な6人のメンバーには、「資金調達をして必ず事業を大きくする。だから手伝ってほしい」と、ほぼ無給に近いなかで寝る間も惜しんで働いてもらっていた。

「それなのに、社長が『この業界に思いがもてないから辞める』と言って手を引くなんて、あまりにも無責任でしょう。最低だな、と思って。もう学生のうちに起業をするのは辞めようと、就活に向けて動き始めました」

それでも、もう一度起業したいという思いがあった。転機は再び訪れる。小川は将来を見据えて通い始めたプログラミングの学校の授業のなかで、働きたい時間と働いてほしい時間をマッチングするサービスを提供するためのアプリを開発した。タイミーの母体となるアイデアだった。背景にあったのは、小川自身のアルバイト体験だ。

「なかでも、日雇いで入った現場がまさにピンキリだったんです。また働きたいと思う現場もあれば、ひどい環境もあった。『人手不足と言われているのに、なぜこんな労働環境が蔓延っているのか』と、いち労働者としてすごく苛立ちを感じていました。いい会社にいい人が集まっていくべきで、そうではない会社は淘汰されてしかるべきではないか。それなのに、『行ってみなければ分からない』という情報の不透明性が高すぎるのではないか——と。わざわざ面接に行ってシフトを組んだのに、現場に入ってから辞めることになれば、労働力の機会損失は甚だしい。ワンクリックで働けて、すぐにお金がもらえて、現場の環境について評価が分かるようなサービスがあれば、私が感じたモヤモヤはなくなるのではないかと思いました」

人材業界のタブーにも切り込む。タイミーならではの考え方


経験から課題を見出していく視点に加え、小川の起業家としての才覚は、思い立ったアイデアを周りに発信することで引き出されていく。起業家が集まるセミナーに参加した際、そこで出会った投資家にビジネスアイデアを話したところ、「面白い!」と背中を押され、資金調達が決まったのだ。起業を諦めていた小川だったが、だからこそ、素直にいいものをつくろうという思いだけで生まれたのがタイミーだった。

「人材業界の、アルバイト領域のブラックボックスに切り込む。この課題、この事業だったら、人のお金を預かってでもやりたいと思えました」

創業以来、「多くの経営者の先輩たちに支えてもらって今がある」と話す小川。サイバーエージェントの藤田晋や、DeNAの南場智子とは、「悩んだときには相談しに行く」関係を築いてきた。

「おふたりのような偉大な経営者に会うたびに刺激を受けました。私が提供できる価値は何かと考えたとき、出資していただいたお金を何十倍にしてお返しするといのはもちろんですが、『自分も若いときはこんなふうに無我夢中だったな』『もう一度何かチャレンジしようかな』と思ってもらえるような何かを、お渡しすることだと思っています。スタートアップエコシステムは、そうやって、成功した経営者から若手起業家へバトンをつないでいって成り立っている。私も、次の起業家への支援につなげることで、日本経済の成長に貢献していきたい」

そして2018年のサービス開始から2年、事業戦略のターニングポイントとなったのが、コロナの拡大だった。創業当初、「タイミー」で探せるスキマバイトは、飲食業界が8割、イベント関連業が2割だった。コロナ禍で両業界ともに休業が余儀なくされるなか、対象業界を広げたことが、今の成長につながっている。

「コロナを機に、物流、ホテル、小売、介護、保育、製造業へと業界を拡大し、今では多様な職種まで仕事の選択肢が広がっています。飲食業界に従事していた人はあのとき、働きたくても働けない状態に陥りました。そこでタイミーが起こしたのが“労働力移動”です。

仕事がなくなってしまった人が、タイミーを使って物流業界で働いたことをきっかけに、『この業界もいいじゃないか』と新たな仕事に就く道を見出すことができた。私たちは、人と仕事をつなぎとめる役割を担うことができたのだと考えています。あのとき、はたらくインフラになることへの意識は急速に強まりました。ミッションも『「はたらく」を通じて 人生の可能性を広げるインフラをつくる』 と一新し、コロナを、結果として“追い風にする”ことができたんです」

タイミーは新たな働き方として一気に登録ワーカーを増やし、市場に受け入れられた一方で、事業者が都合の良いように非正規雇用者を利用できる、と批判を受けることも少なくなかった。非正規雇用と正規雇用の格差を広げているのではないか——そうした声に、小川は毅然と答える。

「私たちは創業当初から一貫して、働き手の立場に立ったアプリをつくることを目指しています。人手不足の国において、働き手が使いたいと思うアプリがない限り、課題は解決しないと思っているからです。

人手が余っていた時代なら、企業側が広告を出して『応募してきたら選んであげる』という在り方も機能していたでしょう。一方でスキマバイトは働き手に寄り添い、『私は条件を満たしているので働かせてください』といえるサービスです。その創業思想から、タイミーでは人材の引き抜きを無料にしています。それは、派遣会社では御法度ですし、人材業界ではありえない考え方でした。ではなぜその慣習を壊しに行ったのかと言えば、働き手目線になっていないから。例えばタイミーでいい人が働いてくれたからそのまま採用したいな、と企業側が思っても、数十万払う必要があれば躊躇するかもしれない。それは、働き手が正社員になれた可能性やキャリアアップの道を閉ざすことになります。引き抜き無料にするかどうかは、創業時の経営合宿で喧々諤々、議論しました。お金を儲ける、という観点で反対意見もありましたが、労働インフラであろうという思想をぶらさないために、無料で行くと決めまたのです」

結果、現在盛り上がりを見せるスポットワーク業界は、すべてのサービスで引き抜き無料が前提となっている。タイミーが業界の慣習を打ち壊し、ルールメイクしてきたことを、「個人が自由意志で働き、いつでも引き抜かれるチャンスを手にできるインフラをつくってきた」と小川は話す。

「タイミーは、使いやすくてお金がすぐにもらえる点で、『タイミー生活を送り、年収が上がらない労働者を増やしている』という指摘もあります。

その課題に向き合うために立ち上げたのが、タイミーで働いた実績がキャリアアップにつながっていく『タイミーキャリアプラス』です。これは、タイミー独自の履歴書フォーマットに、これまでの労働実績や評価を反映していき、正社員紹介につなげていくサービス。学歴や正社員としての職歴がなく、通常は書類段階で断られるワーカーも、『30店舗で働き、そのすべてから高評価が得られている』となれば、書面からは見えないその人ならではの良さをアピールすることができるでしょう。根本にあるのは、頑張っている人が報われる社会をつくる、という揺るがない思想です」

課題先進国にいることは、いちばんのチャンス

常に利用者目線で、心からほしいと思うものをつくる。これが、タイミーの事業に対する姿勢だ。儲かるからつくる、という入口には一切立たない。起業家を目指した学生時代に経営者たちの言葉を読み漁り、「お客様第一の心を持ち、お客様が喜ぶことによって、会社に利益がもたらされる。この順番は絶対間違えることはない」という松下幸之助の言葉に感銘を受けたことも影響している。

今やタイミーは、労働人口約6,700万人の日本において、約15%に当たる900万人が利用するプラットフォームに成長を遂げている。タイミーワーカーに支払う賃金交渉ができれば、日本経済全体に影響を与えることもできるのではないか。労働者の権利保障という大きなテーマにも、小川は「私たちが仕掛けていくべき使命」だと考えている。

少子高齢化が進む日本は、世界に類を見ない課題先進国だ。人手不足の問題に、これから世界各国が直面していくなか、日本でこの課題に向き合っていることが、グローバル展開を目指す上でも、これ以上ない強みになると小川は言う。

「課題先進国にいることは、いちばんのチャンスだと考えています。課題解決にしっかり向き合えるサービスを作ることができれば、世界が欲するフォーマットになり、グローバルに広げていくことができるでしょう。日本でなくては使えないサービスをつくり、そこで培ったアセットやノウハウを、次なる人手不足の課題国に持って行くことが、経営戦略のシナリオだと思っています。

困っている人の手助けをすることが、タイミーの理念であり思い。非正規のアルバイト領域に特化して事業を展開しているのも、いかに社会的弱者を救うインフラになれるかが、タイミーのやるべきことだと思っているからです。日本の働く非正規のインフラを作ることに全力を注ぎ、選択と集中でやり続けることを自分たちの強みに、これからも成長を続けていきます」


おがわ・りょう◎1997年、東京都生まれ。2017年、大学2年生のときにアパレル関連事業を立ち上げるも1年で事業転換を決意。18年にスキマバイトアプリ「タイミー」のサービスを開始。「一人ひとりの時間を豊かに」というビジョンのもとさまざまな業種・職種で手軽に働くことができるプラットフォームを目指す。

タイミー
東京本社/東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 35階
URL/https://corp.timee.co.jp/
従業員/1327名(うち正社員1012名)(2024年11月時点)

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