インドネシアやベトナムの動きは、Temuがさまざまな商品を往々にして大幅に安い価格で提供しながら世界で事業を急速に展開している中でのものだ。
米国では多くの消費者がTemuの存在を知らなかったが、今年2月のNFL優勝決定戦のスーパーボウルでTemuが大金をはたいて6本の広告をプライムタイムに流し、膨大な数の視聴者に「富豪のように買い物」するよう訴えることを目的に1000万ドル(約15億円)相当の無料ギフトを提供したことで状況は一変したようだ。
Temuは中国のeコマース大手PDDホールディングス傘下にあるが、正式には米デラウェア州で法人化され、マサチューセッツ州ボストンに本社を置いている。43歳の中国の富豪、黄峥(コリン・ファン)がTemuを創業し、中国国内で展開するeコマースプラットフォーム、ピンドォドォ(拼多多)の姉妹サイトだ。両社の親会社であるPDDホールディングスは2015年に設立され、2023年に本社をアイルランド・ダブリンに移した。
各国でのTemuの売上は好調だ。だが広く知られるようになるほどに、同社には厳しい目が向けられており、ベトナムメディアのVietnam Netによると、Temuがベトナムでの事業承認を申請した後、政府は懸念を強めているという。
Temuは10月からベトナム国内で利用できるようになったが、その後間もなく、同国の産業貿易省は、Temuのプラットフォームで提供される安価な製品の品質に懸念があるとして、未登録のTemuで商品を購入しないよう消費者に警告した。ベトナムには未登録のeコマースプラットフォームを罰する制度があり、法律などを順守しなかった企業に罰金を科したことがある。